パート・アルバイトで働く高齢者が最多の33%!老後も働かないと生活は成り立たない?
本記事では、統計データをもとに高齢者の働き方の背景や理由を解説し、「老後も働かないと生活は成り立たないのか?」という疑問に答えていきます。
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目次
高齢者の就業者のうち最多は「パート・アルバイト」33%
内閣府「令和6年度 高齢社会対策総合調査」によると、現在、収入を伴う仕事をしている高齢者の就業形態で最も多いのは「パート・アルバイト」で、33.4%を占めています。次いで「自営業・自由業」が22.5%、「会社員・団体職員」が15.0%という結果でした。
さらに総務省「2024年 労働力調査」によれば、65歳以上の雇用者のうち非正規雇用が76.9%を占め、その中でもパート・アルバイトが半数以上となっています。つまり、定年を迎えた後に再就職する場合、多くの人が正社員ではなく柔軟な働き方を選んでいることがわかります。
なぜ高齢者はパート・アルバイトで働くのか?
高齢者がパート・アルバイトを選ぶ理由には、大きく3つの傾向があります。
まず1つ目は、収入補填のためです。年金や貯蓄だけでは生活費を賄えないと感じる人が多く、内閣府の同調査でも「生活のために働く」と答えた割合は5割を超えています。特に物価上昇や医療費の負担が重くなっている現在、家計を補う収入源として就労を続ける人が増えています。
2つ目は、柔軟な働き方ができるからです。正社員のように長時間勤務や責任の重さを負うのではなく、自分の体力や生活リズムに合わせて働けることが、パート・アルバイトを選ぶ理由として多く挙げられています。
3つ目は、健康維持や生きがいです。「外に出て人と関わることで老化を防げる」「体を動かすことで健康につながる」といった声も多く、働くこと自体が心身の活力源になっているケースも少なくありません。
老後も働かないと暮らせない? 現実と課題
一方で、「老後も働かないと生活できないのでは?」という不安は現実的です。総務省「2024年 家計調査」によると、二人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯では、実収入の89.1%が年金などの社会保障給付ですが、年金だけでは生活が厳しいと答える世帯は年々増えています。
実際、同世帯の1ヶ月あたりの可処分所得は22万2462円で、消費支出は25万6521円です。毎月3万4000円程度の赤字が出ています。
その不足分を補うためにパートやアルバイトで働く人が多いのが現状です。ただし、非正規雇用であるために賃金が安定しにくい、社会保険の対象にならないケースがあるといった課題もあります。
さらに、健康状態や介護が必要になると働き続けるのが難しくなり、生活の基盤が不安定になるリスクも存在します。
まとめ:老後の働き方は「生活」と「生きがい」の両立がカギ
パート・アルバイトで働く高齢者が33%を占めるというデータは、年金や貯蓄だけでは暮らしに不安がある現実を反映しています。確かに「老後も働かないと生活できない」という側面はありますが、一方で「健康維持」や「社会参加」といった前向きな理由で働く人が多いのも事実です。
重要なのは、働くことを義務や不安の象徴とするのではなく、自分らしい生活を支える選択肢として考えることです。老後資金の準備をしつつ、体力や生活スタイルに合った働き方を見つけることが、安心した暮らしと充実した日々につながるでしょう。
出典
内閣府 令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果(全体版)
総務省統計局 労働力調査(基本集計) 2024年(令和6年)平均結果の概要
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2024年(令和6年)平均結果の概要
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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