65歳以上の“平均収入”はどれくらい?定年後に働く人の割合も解説
かつては、定年退職後は「年金を受け取って、悠々自適な生活をする」というイメージがあったかもしれません。しかし、現在では社会情勢の変化などに伴い、定年後も働き続ける人が増える傾向にあります。
本記事では、定年後の就業実態および収入事情についてまとめました。
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65歳以上の就業状況
総務省統計局の「統計からみた我が国の高齢者」という資料によると、日本の65歳以上の高齢者の就業率は主要国の中でも高い水準にあります。では、年齢階級別の就業率を具体的に見ていきましょう。
総務省統計局の「労働力調査(基本集計) 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の25.7%が仕事に就いています。
65歳以上の就業率は年々上昇しており、高齢者の就業意欲の高さがうかがえます。表1は、65歳以上の就業率をまとめたものです。
表1
| 年齢階級 | 性別 | 就業率(%) |
|---|---|---|
| 65~69歳 | 男女計 | 53.6 |
| 男 | 62.8 | |
| 女 | 19.1 | |
| 70~74歳 | 男女計 | 35.1 |
| 男 | 44.7 | |
| 女 | 27.3 | |
| 75歳以上 | 男女計 | 12.0 |
| 男 | 17.3 | |
| 女 | 8.5 |
出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計) 2024年(令和6年)平均結果の概要」より筆者作成
高齢者の就業率の上昇は、日本の労働力人口の減少を背景に、経済社会の活力を維持・発展させるうえで重要であると政府も位置づけていると考えられます。
高齢者が働く理由
内閣府の「令和6年度 高齢社会対策総合調査」によると、高齢者が働く理由として「収入のため」という回答が、50%を超えて最も多くなっていました。
そのほか「働くのは体によい、老化を防ぐ」「自分の知識や能力を生かせる」といった理由が続きます。
この結果から、高齢者が働くのは単に経済的な理由だけではなく、健康維持や社会とのつながりや生きがいを保つ目的もあるといえるかもしれません。
高齢者の就業形態は?
高齢者の雇用形態は、非正規の職員・従業員の比率が年齢とともに上昇する点が特徴です。表2に、年齢階級別の就業形態をまとめました。
表2
| 年齢階級・性別 | 正規の職員・従業員の割合(%) | 非正規の職員・従業員の割合(%) | |
|---|---|---|---|
| 55~64歳 | 男女計 | 56.9 | 43.1 |
| 男 | 76.0 | 24.0 | |
| 女 | 35.7 | 64.3 | |
| 65歳以上 | 男女計 | 23.1 | 76.9 |
| 男 | 28.7 | 71.3 | |
| 女 | 16.5 | 83.5 | |
出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計)」 2024年(令和6年)平均結果の概要」より筆者作成
65歳以上の正規雇用の割合が減る理由には、定年後の再雇用や再就職をする際に、嘱託社員やパート・アルバイトといった非正規の形態で働くケースが多いことが関係していると考えられます。
高齢者の非正規雇用が多い理由としては、都合のいい時間に働きたいといった働く側の理由のほか、雇う側の人手不足解消、コスト削減などがあるでしょう。
65歳以上の平均収入は?
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」によると、65~69歳(男女計)の正社員・正職員の平均月収は31万9800円でした。一方、非正規雇用の平均月収は23万8700円で、正規雇用の74.6%となっています。
これを年収(12ヶ月分)に換算すると、正社員・正職員は383万7600円、非正規では286万4400円です。
このように、正規雇用と非正規雇用の間には、明確な収入格差が存在しています。非正規雇用の収入が減少する背景には、再雇用時に給与体系が見直されることや、賞与(ボーナス)の対象外となること、役職から外れることなどがあると考えられます。
「収入のため」という経済的な理由が動機になっている人が多いのにもかかわらず、その多くが収入の低い非正規雇用に就かざるを得ない現実があるといえます。
65歳以上の平均月収は雇用形態によって開きがあり、およそ24万円~32万円となっている
現在、65歳以上の就業率は約4人に一人という高い水準にあり、多くの高齢者が意欲的に働き続けています。政府も法整備を進め、企業も高齢者の雇用機会を拡大しており、生涯現役で活躍できる社会環境が整いつつあるでしょう。
定年後のライフプランは、一人ひとり異なります。自身の価値観や人生設計に合った、充実したセカンドキャリアを築いていきましょう。
出典
総務省統計局 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)平均結果の概要(6ページ、9ページ)
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況(12ページ)
内閣府 令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果(56ページ)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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