夫が来年定年で、退職金が約「2500万円」になる予定です。退職金は税金が引かれると聞いたのですが、手取りはどれくらいになるのでしょうか?
本記事では「約2500万円」の退職金を例に、控除額から税金、手取り額を具体的にシミュレーション。さらに、受け取り方やタイミングによって手取り額を増やす工夫についても解説します。
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退職金に課される税金の仕組みとは?
退職金は「退職所得」として扱われ、給与所得とは異なる「分離課税」方式が適用されます。
■退職所得控除
勤続年数に応じて、控除額が設定されています。
・20年以下:40万円 × 年数(最低80万円)
・20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
■2分の1課税
退職金から控除額を差し引いた残りの金額をさらに1/2にして課税対象額とします。
■課税額の計算方法
課税対象となる退職所得に対して、所得税(累進課税)+復興特別所得税(2.1%)を計算し、住民税は市町村民税6%、都道府県民税4%の合計10%がかかります。
このような仕組みにより、退職金の税負担はかなり軽減される設計です。
約2500万円の退職金を受け取った場合、手取りはいくら?
具体例として、勤続年数30年(東京都品川区の場合)で計算してみます。
・退職所得控除:800万円 + 70万円 ×(30 − 20)= 1500万円
・課税対象退職所得: (2500万円 − 1500万円) × 1/2 = 500万円
所得税・住民税をそれぞれ計算してみます。
・所得税:500万円 × 20% − 42万7500円(控除額)= 約57万2500円
・復興特別所得税:500万円 × 2.1%= 約10万5000円
・住民税(東京都品川区:市区6%+都4%):500万円 × 10%= 約50万円
合計税額:約117万7500円
→ 手取り額:2500万円 − 117万7500円 = 約2382万2500円
「想像よりずっと税金が少なくて安心した」という声も多く、しっかり計算すれば納得できる結果だといえるでしょう。
勤続年数や受け取り方で手取りはどう変わる?
退職金の受け取りには、以下のような違いがあります。
・勤続年数が異なる場合
勤続15年・退職金2000万円の場合など、控除額の差で税負担が大きく変わります。
・受け取り方法を分ける方法
退職金を一時金と年金形式で分割受取する場合、税負担を平準化できるケースがあります。ただし、年金形式の場合は「雑所得」扱いとなることがあり、課税方法が異なります。
・退職時期の調整
勤続年数の「1年未満の端数は切り上げ」されるため、たとえば19年11ヶ月→20年にするだけで控除が40万円増えるケースもあります。このような工夫により、手取り額をさらに増やすことが可能です。
まとめ
約2500万円の退職金を30年勤続で受け取る場合、手取りはおよそ2382万円になります。
退職金は控除や2分の1課税により税負担が軽く設計されていますが、退職時期の調整や一時金と年金の組み合わせなどでさらに有利に受け取ることも可能です。計算方法を理解し、事前に準備することで安心して老後資金に活かせるでしょう。
出典
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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