70代“要介護3”の母を在宅で介護しようかどうか悩んでいます。「在宅のほうが施設より安い」と聞きますが、実際どれくらいの費用の差があるのでしょうか?
本記事では、在宅介護と施設介護の費用の違いと、それぞれのメリット・デメリットを解説し、要介護3の場合の具体的な費用負担額を紹介します。
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目次
在宅介護と施設介護にかかる費用の違い
在宅介護は、自宅に住みながらデイサービスや訪問介護などのサービスを併用します。
「公益財団法人 家計経済研究所」が2016年に実施した「在宅介護のお金と負担」によると、在宅介護にかかる1ヶ月あたりの支出では、介護サービス費用が平均1万6000円でした。
一方、介護サービス以外にかかる費用は平均3万4000円で、全体平均は5万円です。ただし、在宅介護サービスの費用は、要介護度によって異なります。
利用者が「要介護3」の場合、1ヶ月あたりの介護サービス費用は2万5000円、介護サービス以外の費用は3万5000円で、両方を合わせた在宅介護にかかる1ヶ月あたりの費用は6万円でした。
一方 、施設介護の場合は、介護サービス費用に加えて利用者が生活するための費用が別途かかります。1ヶ月あたりの利用料金は約5~15万円といわれていますが、利用者の状況によっては在宅介護にかかる費用とほぼ変わらないケースもあります。
また、民間の介護施設を利用する場合は、公的施設よりも月額利用料は高くなる傾向です。
在宅介護と施設介護にかかる費用の違いは、利用者の要介護度や利用条件、民間または公的施設によって変動します。条件によっては、同額程度で利用できる場合もありますが、一般的には在宅介護のほうが安くなる傾向があります。
在宅介護のメリット・デメリット
在宅介護のメリットの一つは、住み慣れた環境で過ごせることです。家族の目が届きやすく、精神的な安心感を得られます。また、介護保険サービスの組み合わせ次第で、比較的費用を抑えることも可能です。
一方、デメリットとして、介護の担い手が家族に偏りやすく、介護疲れや精神的ストレスを感じる可能性があることや、仕事との両立が難しくなる可能性があることが挙げられます。特に、長時間の介護や夜間の対応が続くと、心身の負担はさらに増します。なお、介護スキルが求められる場合には、専門家のサポートが必要になるかもしれません。
施設介護のメリット・デメリット
施設介護のメリットは、介護のプロによる24時間体制のサポートを受けられる点です。入浴・食事・排せつのケアも任せられるため、家族は介護から解放され、精神的・肉体的なゆとりが生まれます。
一方、デメリットとして、利用者本人が施設になじめずに退所するケースがあることです。
また、在宅介護よりも費用がかかったり、特別養護老人ホームに入るには待機期間が数ヶ月かかったりすることもあります。民間の有料老人ホームは即入居可能な場合が多いですが、費用負担はさらに多くなります。
要介護3の費用負担額
介護保険サービスの自己負担は原則1割ですが、所得に応じて2〜3割になります。例えば、1割負担で1万円のサービスなら1000円負担です。
一方の施設介護では、居住費や食費なども必要です。所得が低い方や負担が高額になった場合には、軽減制度もあります。
なお、要介護3の在宅介護では、サービス利用の上限額は、1ヶ月あたり27万480円です。もし、限度額27万480円以上を超えてサービスを利用した場合は、全額自己負担となります。
在宅と施設の違いや制度を理解して、最適な介護スタイルを決めよう
在宅介護は施設に比べて費用を抑えられる傾向がありますが、その分、家族の介護負担が大きくなる点に注意が必要です。一方、施設介護は費用が高くなる傾向がありますが、介護のプロによる安心のケアが受けられます。
介護サービスを受ける場合は、制度内容をよく理解し、本人と家族の状況に合った介護方法を選ぶことが大切です。
出典
公益財団法人家計経済研究所 在宅介護のお金と負担
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 サービスにかかる利用料
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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