父(75歳)に免許返納を勧めていますが「タクシーやバスを使うほうが家計的に負担が大きい」と言います。「年間50万円」程度かかっているそうですが、維持費よりも高くなるものでしょうか?

配信日: 2025.09.11 更新日: 2025.10.21
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父(75歳)に免許返納を勧めていますが「タクシーやバスを使うほうが家計的に負担が大きい」と言います。「年間50万円」程度かかっているそうですが、維持費よりも高くなるものでしょうか?
高齢の親に免許返納を勧めると、「車を手放すとタクシーやバスの方が高くつく」と反論されることは少なくありません。特に「年間50万円ほどかかっている」と車の維持費を実感している方にとっては、それ以上に交通費が増えるのではないかという不安はもっともです。
 
では実際のところ、自家用車を持ち続ける場合と、公共交通やタクシーに切り替える場合とでは、どちらが家計にとって負担が大きいのでしょうか。本記事では、維持費の実態と交通費の比較、そして経済面だけではない免許返納の判断材料について解説します。
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自家用車の維持費はどのくらいかかっている?

まず、自動車の年間維持費について確認しておきましょう。一般的な維持費には、以下のような項目が含まれます。


●自動車税
●車検代(2年に1度)
●任意保険・自賠責保険
●ガソリン代
●駐車場代
●整備・メンテナンス費
●消耗品(タイヤ、オイルなど)

小型車であれば年間40万~50万円、普通車なら50万円以上かかることも珍しくありません。軽自動車であっても、保険料やガソリン代、整備費を含めると年間30万~40万円ほどは必要になります。
 
お父さまが「年間50万円かかっている」とおっしゃるのは、平均的な水準といえます。購入費やローンが含まれていなくても、これだけの金額になるのはごく自然なことです。
 

タクシーやバスはどれくらい使えば「50万円」を超える?

では、自家用車の代わりにタクシーやバスを使った場合、家計負担はどのくらいになるのでしょうか。
 
まずタクシーですが、東京都内であれば初乗りが500〜600円程度、5km乗ると1500円〜1700円ほどかかります。往復すれば3000円前後です。
 
仮に週に3回、タクシーで5kmの距離を往復した場合、1週間で約9000円。1ヶ月にすると3万6000円、年間では約43万円になります。週4回以上タクシーに乗るなら、自家用車の年間50万円の維持費と同等か、それ以上になる可能性があります。
 
一方、バスや電車を中心に利用するなら、費用はかなり抑えられます。たとえば1回300円のバスに週3回乗っても、年間で約4.7万円です。もちろん、バスや電車のルートが生活圏内にあることが前提となりますが、徒歩や自転車と組み合わせることで大幅にコストを抑えられます。
 
つまり、「どれくらいの頻度で移動するのか」「どの手段を使うのか」によって、タクシー・バス利用のコストは大きく変わるのです。
 
コストをおさえるには、自治体の支援を利用することもおすすめします。例えば、豊中市では移送サービスや、買い物支援などが導入されたり、伊達市では地元タクシー会社が連携し、愛のりタクシーの運行も導入されたりしています。
 

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経済面だけでなく、安全や健康面も含めて考える

維持費だけを見ると、車を持ち続けた方が得に見える場合もあります。ただし、費用だけでなく「安全」や「生活の質」も大切な判断材料です。
 
高齢ドライバーによる事故は社会問題にもなっています。ブレーキとアクセルの踏み間違い、反応速度の低下など、ご本人が自覚しづらいリスクも多く存在します。
 
もし事故を起こしてしまった場合、修理代や賠償金などの金銭的負担に加えて、精神的ダメージや家族関係の悪化にもつながりかねません。
 
また、車に頼りすぎる生活は、運動不足になりやすく、足腰の衰えを早めてしまう可能性もあります。公共交通や徒歩移動は、日常的な運動にもなり、健康維持にも効果があります。
 

維持費と交通費は「生活スタイル」で大きく変わる

お父さまが言う「タクシーやバスの方が高くなる」という意見には、一理あります。
 
ただし、実際の費用を比較してみると、利用頻度や距離、住んでいる地域によってコストは大きく変動します。年間50万円という車の維持費は現実的な金額であり、それ以上タクシーを使うようであれば確かに割高になります。
 
しかし、移動頻度が少ない場合や、公共交通機関が使える地域であれば、免許返納後の方が家計的に楽になる可能性もあります。
 
免許返納は単なる「運転をやめる話」ではなく、今後の暮らし方を考える大事なきっかけです。費用面、安全面、そして心の面にも寄り添いながら、家族で一緒に話し合っていくことが何よりも大切です。
 

出典

株式会社日本総合研究所 各自治体での取り組み事例
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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