高齢者世帯の「6割以上」が預貯金を取り崩している!? 老後の生活費って月々どれくらいかかるの?
本記事では、実際のデータをもとに、老後の生活費が月々どのくらいかかるのかを解説します。また、年金とのバランスや、備えておくべきポイントについても紹介します。
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本当に「6割以上」が預貯金を取り崩しているのか?
内閣府「令和6年度 高齢社会対策総合調査」によると、65歳以上の世帯のうち「支出が収入を上回り、預貯金を取り崩すことがある」と答えた人の割合は61.2%にのぼります。この結果から、多くの高齢者が年金収入だけでは生活がまかなえず、貯金を使って生活費を補っていることがわかります。
ただし、「取り崩す」と言っても、毎月多額の貯金を使っているわけではありません。月数万円の赤字を補う程度で済んでいる世帯も多く、生活が破綻しているというわけではありません。しかし、物価高騰や医療費の増加など、今後さらに支出が増えるリスクがあるのも事実です。
老後にかかる月々の生活費はどれくらい?
総務省「家計調査 家計収支編 2024年」によれば、無職の高齢者世帯の1ヶ月あたりの消費支出は、夫婦のみの世帯で25万6521円、単身世帯で14万9286円とされています。
この支出には、食費や光熱費、交通費、医療費に加え、居住費も含んだ生活費の総額です。ただし、住まいの状況によって実際の負担額は大きく異なります。
たとえば、賃貸住宅に住んでいる場合は、毎月一定の家賃が必要となるため、住居費の割合が高くなりがちです。一方、持ち家の場合は家賃は不要ですが、固定資産税や修繕費、管理費などが発生します。
また、高齢になるにつれて医療費の支出も増える傾向があります。そのため、見かけの金額以上に、生活費の負担が重く感じられることもあるでしょう。
年金だけでは足りない? 不足分のリアル
日本年金機構によると、令和7年度の厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は月23万2784円です。1ヶ月あたりの消費支出を差し引くと、夫婦のみの世帯では月2万3000円程度の赤字が出ている計算になります。
さらに、令和7年度の国民年金(老齢基礎年金)は、満額で月6万9308円です。単身世帯の消費支出と比べると、収入が国民年金だけだった場合、月8万円程度の赤字が生じることになります。この差額を埋めるのは現実的に難しく、多くの高齢者が預貯金を取り崩して生活しているのです。
このように、年金だけでは生活費をまかなえないケースが少なくありません。だからこそ、この赤字分をカバーするためには、現役時代にどれだけ備えておけるかが大きなポイントになります。
将来に備えるために、今からできること
老後の生活費に不安を感じたなら、今から備えることが大切です。以下の3つを意識しておきましょう。
1.生活設計を立てて、老後資金の目標を決める
何歳まで働くか、年金はいくらもらえるかを把握し、月々の生活費と照らし合わせて準備すべき貯金額を考えましょう。
2.支出の見直し・家計のスリム化
固定費(住居費、保険、通信費など)を見直して、老後に向けた家計のスリム化を進めることが重要です。
3.資産の運用も視野に
貯金だけでなく、NISAやiDeCoなど、税制優遇のある制度を活用して資産形成を進めると、将来的な安心につながります。
まとめ
高齢者の6割以上が預貯金を取り崩しているという現実は、老後の生活費と年金との間にギャップがあるからです。だからこそ、早めに対策を採ることが重要です。
今のうちに生活費の見通しを立てて、支出を見直し、資産形成を始めることで、老後の不安は大きく減らせます。将来に向けて、できることから一歩ずつ始めていきましょう。
出典
内閣府 令和6年度 高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)の結果
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年) 家計の概要
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー