父が65歳で定年を迎えます。夫婦2人の老後資金が「700万円しかなく、周りよりも少なくて恥ずかしい」と言うのですが、この貯蓄額は60代としては少なすぎますか?

配信日: 2025.09.17 更新日: 2025.10.21
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父が65歳で定年を迎えます。夫婦2人の老後資金が「700万円しかなく、周りよりも少なくて恥ずかしい」と言うのですが、この貯蓄額は60代としては少なすぎますか?
最近は物価が上がり続けており、親の老後の生活費について不安に思う人もいるかもしれません。老後を安心して暮らせるかどうかは、退職時点でどれくらい貯金があるかが大きなポイントです。
 
しかし、日本ではお金の話をあまりしない傾向があるため、周りの人がどのくらい貯蓄しているかを知る機会が少なく、現在の親の貯蓄額が多いのか少ないのか判断しにくいのではないでしょうか。
 
本記事では、公的な調査データを基に60代世帯の貯蓄額や老後の生活費の実態、および老後資金を見直すポイントについて解説します。
東雲悠太

FP2級、日商簿記3級、管理栄養士

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60代世帯の貯蓄額はどのくらい?

金融経済教育推進機構が2024年に実施した家計の金融行動に関する世論調査によると、世帯主が60代の2人以上世帯の貯蓄額に関するデータは次の通りです。
 

・平均貯蓄額:2033万円
・中央値:650万円

 
平均貯蓄額は、一部の富裕層世帯が数値を押し上げるため、実際の感覚より金額が大きく感じるかもしれません。一方、中央値は貯蓄額を多い人から少ない人まで順番に並べたときの真ん中に当たる人の貯蓄額であり、一般的な世帯像を反映しやすい指標です。
 
また、この金融経済教育推進機構の調査は、貯蓄額が全くない世帯も含んでいる調査のため、より実態に近い数値と言えます。今回のタイトルにある貯蓄額700万円は、この中央値650万円をやや上回る水準に当たり、決して恥ずかしいという金額ではありません。
 

老後資金として700万円は足りる?

700万円は中央値をやや上回る貯蓄額でありますが、老後資金として安心できる金額と言えるのかどうかは、気になるところでしょう。総務省統計局が2024年に実施した家計調査によると、65歳以上の夫婦2人無職世帯における月の平均的な収入および支出は次の通りです。
 

・収入:約25万3000円
・支出:約28万7000円

 
収入から支出を差し引くと、月に約3万4000円のお金が不足することになります。この不足を貯蓄で補うと考えると、700万円は単純計算で約17年分です。
 
65歳の人だと82歳のときに貯金が底をつくことになります。人生100年時代と言われる現代においては82歳よりも長生きする可能性が高く、今後の物価上昇や医療費の増加まで含めて考えると、700万円は安心できる金額とは言えません。
 

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老後資金を維持し増やすための方法3つ

少しでもお金の不安を解消して安定した老後生活を送るために、老後資金の見直しは重要です。定年後でも取り組める方法を3つ紹介します。
 

毎月の出費を抑える

老後は収入が限られるため、特に固定費を削減して毎月の出費を節約しましょう。例えば、住宅ローンの繰り上げ返済や借り換えによる利払いの低減、保険内容の見直し、携帯電話の料金プラン変更などが挙げられます。それぞれ手続きは必要ですが、継続的に出費を下げられる固定費は積極的に見直しましょう。
 

働いて収入を得る

再雇用や短時間のパートなど、無理のない範囲で定年後も収入を得ることは、老後の資金不足を補うための確実な方法です。高年齢者雇用安定法により、企業の側で定年後の再雇用制度を整備するケースが増えています。
 
また、勤めていた企業だけではなく別の企業や業界に再就職をしたり、地域のシルバー人材センターに登録し職を得たりすることも選択肢の1つです。少額でも安定した収入があれば、貯蓄の取り崩しペースを抑えられます。
 

年金の繰下げ受給や投資を検討する

年金の受給開始時期を繰り下げることで、老後生活の土台となる年金収入を増やせます。生年月日によって一部対象外の人がいますが、最大で75歳まで受給開始を繰り下げられ、繰り下げた月数に応じて受け取る年金受給額は最大84%増えます。
 
また、老後資金として蓄えた貯蓄を、国債や投資信託など、比較的リスクを抑えた投資商品に分散投資することも選択肢になります。ただし、年金の繰下げ受給や分散投資は、生活費の見通しやリスク許容度をふまえて慎重に判断しましょう。
 

人生100年時代に備えて安定した老後生活を送る準備をしよう

60代世帯で貯蓄700万円は、中央値をやや上回り決して恥ずかしい水準ではない一方で、老後の生活で見込まれる収支差額を補てんするには心もとない金額です。支出を抑えたり、無理のない範囲で働いて収入を得たり、年金の繰下げ受給や分散投資したりするなど、資産を長持ちさせるための計画を考えておきましょう。
 

出典

金融経済教育推進機構 家計の金融行動に関する世論調査 2024年
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2024年(令和6年)平均結果の概要
厚生労働省 高年齢者の雇用
 
執筆者 : 東雲悠太
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士

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