間もなく定年を迎えますが、貯蓄額は「1000万円」ほどです。同じくらい貯めている人の割合はどのくらいでしょうか?
老後の生活設計を考えるうえで、ほかの人がどのくらい貯蓄しているのか、自分の貯蓄額が平均と比較してどの位置にあるのかを知ることは大切です。
この記事では、定年世代の貯蓄状況、1000万円以上の貯蓄を持つ人の割合についてまとめました。
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目次
定年世代の貯蓄事情
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」では、二人以上の世帯と単身世帯、それぞれの世帯構成によって貯蓄の状況が異なることが分かりました。
ここで分かる数字は、自身の貯蓄額が全体の中でどの位置にあるのかを大まかに把握するための有効な手掛かりとなるでしょう。
二人以上世帯の貯蓄状況
60歳代の二人以上世帯における、金融資産保有額の平均値と中央値には違いが見られます。
平均値は一部の収入が高い人によって引き上げられる傾向があることから、より実態に近いのは中央値といえるでしょう。
60歳代の二人以上世帯における金融資産(預貯金や株式など)の保有額の平均値は2033万円です。しかし、中央値は650万円となっています。1000万円という貯蓄額は、平均値の半分程度、中央値よりも上の水準にあるといえるでしょう。
単身世帯の貯蓄状況
同データによると、60歳代の単身世帯における金融資産保有額の平均値は1679万円、中央値は350万円でした。
単身世帯の場合、1000万円の貯蓄額は平均値よりも少し下、中央値と比較すると多い数字といえるかもしれません。
貯蓄額1000万円以上の割合はどれくらい?
60歳代の二人以上世帯で、1000万円以上の金融資産を保有する世帯の割合は、1000万~1500万円未満が8.9%、1500万~2000万円未満が5.8%、2000万~3000万円未満が8.0%、3000万円以上が20.0%でした。その一方で、金融資産非保有の世帯は20.5%あります。
また、単身世帯の場合、1000万円以上の金融資産を持つ世帯の割合は、二人以上世帯に比べて少なくなります。
単身世帯では、1000万~1500万円未満が8.2%、1500万~2000万円未満が2.6%、2000万~3000万円未満が6.1%、3000万円以上が16.8%でした。金融資産非保有の世帯は27.7%あり、二人以上の世帯よりも高くなっています。
1000万円の貯蓄で老後を乗り切るためには
ベンチャーサポート相続税理士法人が実施した「老後資金に関する調査」によると、4割近くの人が「年金で生活資金を賄えているものの、貯蓄額に不安がある」と回答しています。
また、「年金だけでは不足し、貯蓄額にも不安がある」割合はおよそ3割に上りました。この結果から、全体の7割近くの人は貯蓄額に不安があることが分かります。
1000万円の貯蓄で老後を乗り切るためには、計画的な資金運用と生活設計が必要となるでしょう。現役時代と同じ感覚で支出を続けてしまうと、貯蓄が目減りしてしまう可能性があります。定年後の生活費を見すえ、必要な支出と削減できる支出を明確にしておきましょう。
また、定年後も完全にリタイアせず、何らかの形で収入を得ることは、老後資金の不安を軽減する有効な手段といえます。再雇用制度を利用したり、これまでの経験やスキルを生かしてパートやアルバイト、あるいはフリーランスで働いたりするなど、さまざまな方法があります。
月に数万円でも安定した収入があれば、その分だけ貯蓄の取り崩しを減らせることから、資産寿命を延ばせるでしょう。生きがいや社会とのつながりを保つ意味でも、定年後も働き続けることは大きな意味を持つといえるかもしれません。
60代で1000万~1500万円の貯蓄額を持つ人の割合は、二人以上の世帯では8.9%、単身世帯では8.2%
1000万円の貯蓄で老後を乗り切るためには、定年後の収入と支出を大まかに把握し、資金計画を立てることが大切です。
退職金や公的年金、住宅ローンの状況、定年後の働き方やライフプランを総合的に考え、万が一の出費に備え、できる限り貯蓄を取り崩さないよう準備しておきましょう。
必要であれば、専門家のアドバイスを求めることも有効といえます。計画的に準備を進めることで、定年後の人生を充実したものにしましょう。
出典
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2024年 二人以上世帯 各種分類別データ、単身世帯 各種分類別データ
ベンチャーサポート相続税理士法人 <老後資金に関する調査>を実施
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー