定年後は「シルバー人材センター」で月に「5万円」稼ごうと考えています。受け取ったお金はすべて“課税対象”になるのでしょうか?

配信日: 2025.09.25 更新日: 2025.10.21
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定年後は「シルバー人材センター」で月に「5万円」稼ごうと考えています。受け取ったお金はすべて“課税対象”になるのでしょうか?
定年退職後、これまでに身に付けた経験や技術を生かせる場の一つとして「シルバー人材センター」が挙げられます。
 
公的な機関であるシルバー人材センターで得た収入が、すべて課税対象になるのか気になる人もいるでしょう。本記事では、シルバー人材センターの概要、働く場合の収入と税金についてまとめました。
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シルバー人材センターとは?

シルバー人材センターは、高齢者がこれまでの知識や経験を生かし、地域社会で働くことを支援する公的な機関です。高齢者の社会参加を促進し、地域社会づくりに貢献する場として国や地方公共団体からの支援を受けながら、公益法人として運営されています。
 
シルバー人材センターで提供されるのは、以下のような仕事が中心です。

●事務作業
●公園管理、駐輪場管理、施設管理
●オフィスやマンション清掃、草むしり
●買い物代行、家事手伝い、庭の手入れ
●ふすま・障子張り、大工仕事、植木剪定

シルバー人材センターを通じた仕事の依頼は、発注者からセンターに寄せられ、センターが会員の希望や能力、体力など適性に合わせて仕事を紹介します。
 
会員はセンターから仕事の対価として「配分金」を受け取ります。これは一般的な給与とは異なる概念であり、税法上の取り扱いも特殊です。
 

シルバー人材センターの配分金の扱い

シルバー人材センターの配分金は、原則「雑所得」に分類され、課税の対象となります。雑所得とは、所得税法に定められた10種類の所得のうち、いずれにも該当しない所得の総称です。給与所得や事業所得とは異なり、その計算方法や控除の適用に特徴があります。
 
シルバー人材センターの会員は、センターとの間に雇用契約を結んでいるわけではありません。仕事の依頼はあくまで「請負契約」や「委任契約」の形式をとるため、一般的な従業員として受け取る給与とは扱いが異なります。この点が、配分金が雑所得となる大きな理由です。
 
雑所得の金額は、以下の計算式で求められます。
 
雑所得の金額=総収入金額-必要経費
 
ここでいう「総収入金額」とは、シルバー人材センターから受け取った配分金の合計額を指します。「必要経費」とは、その収入を得るためにかかった費用(仕事に行くためにかかった交通費や材料費など)のことです。
 
シルバー人材センターで役務を提供する人は、家内労働者等に該当し、収入は原則として「家内労働者等の必要経費の特例」が受けられます。
 
特例では、所得の計算時に実際にかかった経費が55万円未満の場合でも、最大で55万円まで必要経費として認められます(税制改正により、令和7年分以降は65万円に引き上げ)。
 

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家内労働者等の必要経費の特例における注意点

家内労働者等の必要経費の特例が適用されるためには、以下の条件を満たす必要があります。

●給与収入が55万円未満であること
●シルバー人材センターからの収入が雑所得として扱われること
●ほかの収入(年金や営業収入など)がある場合、それらの必要経費を差し引いた残額が特例の範囲内であること

生命保険などの契約に基づく個人年金や営業収入がある場合、それらの必要経費を差し引いた後の金額が特例の対象となります。
 
例えば、個人年金の必要経費が15万円、シルバー人材センターの収入に対する経費が10万円の場合、特例としてさらに30万円を加算し、合計55万円まで認められます。
 
また、実際にかかった経費が特例額を超える場合、その分の費用を申告することが可能です。例えば、配分金が100万円で、必要経費が60万円だった場合は60万円全額を控除でき、40万円が雑所得となります。ただし、領収書などの証拠書類が必要です。
 
確定申告が必要なケースで特例を適用する場合、確定申告書にその旨を記載(入力)する必要があります。もし、適用漏れがあった場合でも「更正の請求」により、さかのぼって適用が可能です。
 

シルバー人材センターで受け取ったお金は「雑所得」として課税対象となるが、特例の適用などにより税額はおさえられる可能性がある

定年後も収入を得ることは、収入面での安心だけではなく、社会とのつながりを保つ点においても有効だといえます。
 
その面で、定年後にシルバー人材センターで月に5万円の収入を得ることは、充実した定年後の生活を送るために役立つでしょう。
 
受け取った配分金は原則として雑所得となって課税対象となりますが、特例などの適用により、実際に課税される所得税額はおさえられる可能性があります。
 
税金の知識を身に付け、定年後の生活をより豊かで安心できるものにしていきましょう。
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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