父は80歳まで働き続けたいと言っていますが、体が心配です…やはり老後は年金だけでは足りないのでしょうか?

配信日: 2025.09.25 更新日: 2025.10.21
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父は80歳まで働き続けたいと言っていますが、体が心配です…やはり老後は年金だけでは足りないのでしょうか?
自分の父親から「80歳まで働きたい」と聞いたら体のことが心配になるのではないでしょうか。しかしそのような声は珍しくないようです。実際に年金だけで生活できる世帯は多くはないのが現状で、高齢者の就労意欲は高まる一方です。
 
本記事では、公的データをもとに年金の水準と高齢期の働き方、生活を支える工夫を解説します。
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年金だけで暮らせるのはどれくらいか

内閣府「令和6年版高齢社会白書」による高齢者世帯(65歳以上のみの世帯)の平均所得は年間318万3000円で、その他の世帯669万5000円の約半分にとどまります。また、等価可処分所得でみても226万円と全世帯平均327万7000円の7割程度です。
 
さらに、年金収入が家計のすべてを占める世帯は44%に達しており、多くの高齢者が「年金のみ」で暮らしている現状が見えてきます。
 
しかし、生活に十分かといえば必ずしもそうではないでしょう。特に都市部の物価や医療費を考えると、年金だけで安心な暮らしを続けるのは難しい世帯も少なくないのではないでしょうか。
 

80歳まで働く人は増えているのか

実際には、高齢者の多くが年金受給に加えて就労も継続しています。内閣府の同資料によると、労働力人口のうち65歳以上は13.4%と上昇傾向です。
 
さらに、60歳以上で仕事をしている人の約4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答しており、就労意欲は非常に高い状況です。今回のケースのように80歳まで現役で働き続けたいという考えは、体調が心配ではありますが、同世代の希望と比較して決して少数派ではないことが分かります。
 

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老後の生活費と不足額の実態

収入面では、年金のみの暮らしは厳しい一方で、老後の支えとなっているのが貯蓄です。65歳以上の世帯の貯蓄中央値は1677万円と、全世帯の1168万円を上回っています。
 
また、「経済的に心配がない」と答えた高齢者は全体の68.5%にとどまり、残りの約3割の世帯は経済的な不安を抱えています。特に医療や介護分野で入院などの予測しにくい突発的な支出が増えると、年金収入だけでは不足しやすいと推測できます。
 

不足を補う3つの方法

このような現実を踏まえると、老後の生活資金を確保するには年金だけに頼らず「就労・資産運用・支出管理」の3つを組み合わせることが重要です。
 

(1)就労継続

定年後は非正規や短時間勤務として働く人が増えています。体力や体調に合わせてアルバイトやパート、業務委託など柔軟な働き方を選べば、収入補てんと社会参加を両立できるでしょう。
 

(2)資産運用

高齢者世帯の金融資産は預貯金に偏る傾向がありますが、現在のインフレや低金利状況を考えると、株式投資などだけではなく、分散投資やNISAつみたて投資枠などの制度を活用することも有効です。投資リスクを抑えつつ、長期的に資産を増やす工夫が求められるでしょう。
 

(3)支出管理

家計の固定費を中心に支出を見直すことも効果的です。通信費や保険料を整理するだけで年間数万円単位の節約になる場合があります。また、居住する地域の自治体などが提供する医療費や介護費用の負担軽減制度を正しく理解し活用することも欠かせないでしょう。
 

長寿時代の安心をどう築くか

年金は高齢期の生活を支える柱ですが、それだけでは安心できない世帯が多いのが現実です。80歳まで働く人が増えているのも、年金収入の不安からくる収入確保の動きとして納得できる選択といえるでしょう。
 
しかし、体調や環境によっては長く働き続けることが難しい場合もあります。そのため、就労・資産・貯蓄をバランスよく組み合わせ、「無理なく続けられる生活設計」を早めに整えることが、長寿時代を安心して暮らすための最大のポイントです。
 

出典

内閣府 令和6年版高齢社会白書 第1章「高齢化の状況」第2節「高齢期の暮らしの動向」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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