定年を迎え「2500万円」の退職金を受け取る予定です。税金などを差し引いて手元に残る金額と年金があれば、ある程度ゆとりのある生活を送れますか?
退職金からは税金が引かれる場合もあるため、実際にいくら手元に残るのか、心配になることもあるでしょう。
本記事では、退職金を2500万円受け取る場合を例に挙げ、税金を差し引かれて手元に残る金額の目安をご紹介します。また、老後にもらえる年金の額と支出との差額についてもまとめています。
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目次
「退職金2500万円」にかかる税金の額は?
退職金にかかる税金は分離課税となっており、ほかの所得にかかる税金より優遇されています。収入金額から差し引かれる退職所得控除額は勤続年数に応じて以下のように計算され、退職金の額面が退職所得控除額よりも少ない場合は非課税となる仕組みです。
●勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
●勤続年数20年超:70万円×(勤続年数-20年)+800万円
退職金の額面が退職所得控除額よりも多い場合は、退職所得控除額を差し引いた残りの金額の2分の1に対して税率を掛けて計算します。
今回は「退職金2500万円」ということなので、勤続年数に応じた退職金手取り額を表1にまとめました(1000円以下切り捨て)。
表1
| 勤続年数 | 退職所得控除額 | 税引き後の退職金手取り額 |
|---|---|---|
| 15年 | 600万円 | 2241万円 |
| 20年 | 800万円 | 2280万円 |
| 25年 | 1150万円 | 2338万円 |
| 30年 | 1500万円 | 2391万円 |
| 35年 | 1850万円 | 2444万円 |
| 40年 | 2200万円 | 2477万円 |
| 45年 | 2550万円 | 2500万円 |
出典:公益財団法人生命保険文化センター「退職金にかかる税金はどのくらい?」を基に筆者作成
勤続30年だともらえる退職金の手取り額は2391万円、35年だと2444万円となります。勤続年数が45年以上だと非課税になるため、2500万円をそのまま受け取ることが可能です。
老後もらえる年金の額と支出との差額
夫婦2人世帯のケースを例に挙げて、退職金以外の収入として老後もらえる年金の標準額と、1ヶ月の平均支出額を確認してみましょう。
日本年金機構によると、令和6年4月分からの夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額は23万483円です。
一方、総務省統計局による「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の支出は28万6877円となっています。もらえる年金の額から考えると、月々約5万6000円不足する計算になります。
月々約5万6000円ずつだと1年につき約67万2000円不足することになるため、45年勤務して2500万円の退職金をそのまま受け取った場合は、およそ37年分の不足を補うことが可能です。
勤続35年だとしても2444万円ほどの退職金を受け取れると想定されるため、比較的ゆとりのある生活を送れると考えてよいでしょう。
ただし、高齢になると入院費や介護費・自宅のリフォームなどで大きなお金が必要になる可能性もあるため、生活費の不足分以外のお金のことも考えておいた方が安心かもしれません。
勤続35年の場合だと税金を差し引いて2444万円程度の退職金を受け取れる可能性があるため、年金収入とあわせると比較的ゆとりある生活を送れると考えられる
退職金を受け取る時期が近づくと「税金がいくら引かれて手元にはいくら残るの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
退職金にかかる税金は勤続年数によって異なり、2500万円の場合の手取り額は勤続年数35年で2444万円、45年以上の場合は非課税となり、2500万円をそのまま受け取れる可能性が高いでしょう。
夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額は23万483円、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の平均支出は28万6877円なので、月々の不足分を退職金で補うと考えると、比較的ゆとりのある生活を送れるでしょう。
出典
公益財団法人 生命保険文化センター 生活基盤の安定を図る生活設計 退職金にかかる税金はどのくらい?
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
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