「月20万円」の年金でも老後資金には足りない? 現在「貯金300万円」の45歳独身ですが、医療費も考えるともっと貯めた方がよいでしょうか?
今回は、老後の生活費や医療費の目安、老後の資金に不安を覚えるときの対策などについてご紹介します。
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老後の生活費や医療費はいくらくらい?
老後の生活費や医療費の目安を知っておくと、将来の資金作りの目標額も決めやすくなるでしょう。ここでは、老後の生活費や医療費の平均を基におおよその目安をご紹介します。
生活費
総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要」によると、65歳以上の単身かつ無職世帯の平均支出は以下の通りです。
・非消費支出:月1万2356円
・消費支出:月14万3139円
・合計平均支出:月15万5495円
非消費支出とは税金や社会保険料などをいいます。消費支出は食料品や衣類など、消費目的で支払われたお金です。年金が月20万円あれば、平均支出を支払っても多少余裕があるといえるでしょう。ただし、実際に必要な老後の費用には、医療費の増加も考慮しなければなりません。
医療費
厚生労働省が公表している「令和4(2022)年度 国民医療費の概況 結果の概要」によると、65歳以上の人口1人当たりの国民医療費は表1の通りです。
表1
| 65歳以上 | 70歳以上 | 75歳以上 | |
|---|---|---|---|
| 総合計 | 77万5900円 | 84万4800円 | 94万900円 |
| 医科診療 | 58万5100円 | 64万900円 | 72万円 |
| 歯科診療 | 3万6200円 | 3万6800円 | 3万6700円 |
| 薬局調剤 | 12万4000円 | 13万3000円 | 14万3400円 |
出典:厚生労働省「令和4(2022)年度 国民医療費の概況 結果の概要」を基に筆者作成
この結果から、年齢が上がるにつれて医療費も増えていることが分かります。生活費だけを参考にすると年金と貯金で足りる可能性もありますが、医療費の増加も考えると少し余裕をもって貯金した方がよいかもしれません。
なお、国民医療費は保険負担分も含んだ医療費であるため、実際の負担額は表よりも少なくなります。
老後の資金が不足しそうなときはどうすればよい?
老後の資金が不足しそうだと感じたら、まずは今からできる資金作りの方法がないかを考えましょう。45歳であれば、65歳まで20年あります。今からでも老後に必要な金額を試算して計画的に貯金すれば、老後の資金作りは可能です。
例えば、現在300万円の貯金があり、65歳までに700万円を追加で貯め、合計1000万円にしたいとしましょう。この場合、年35万円、月に3万円程度貯金すれば、20年で目標金額を達成できます。
また、年金の見込み額が分かっている場合は、退職金の見込み額も計算しましょう。老後の資金作りがより楽になるかもしれません。それでも老後の資金が少ない場合は、年金の繰下げ受給も検討してみてください。
年金の繰下げ受給とは、年金の受け取り開始を65歳より遅らせることで、遅らせた月数に応じて受け取れる年金額を増やせる制度です。最大75歳まで繰り下げられ、1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額します。
医療費は高齢になるほどかかる可能性があるので余裕をもって貯金する
平均支出のみで見ると、年金が月に20万円あれば足りる計算です。しかし、医療費は高齢になるほど負担額が多くなる傾向です。万が一に備えるなら、貯金は想定よりも余裕をもっておいた方がよいでしょう。
老後の資金に不安を感じたときは、まず老後の生活費を簡単に試算してみてください。その後、目標金額に応じて毎月の貯金額を決めれば、老後の資金作りが可能です。
それでも不安なときは、年金の繰下げ受給なども検討するとよいでしょう。自分の年金額や貯金額、退職金額なども考えたうえで、やりやすい方法を実践してみてください。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2022年-(18ページ)
厚生労働省 令和4(2022)年度 国民医療費の概況 結果の概要 5 年齢階級別国民医療費 表5 年齢階級別国民医療費(6ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー