持ち家を売却し、老後資金として「1000万円」を得ました。65歳から「家賃10万円」の家で二人暮らしをするつもりですが、持ち家に住んでいた方がよかったですか?
この記事では、「持ち家を売却して賃貸に住む場合」と「持ち家に住み続ける場合」のそれぞれのメリット・デメリットを整理し、老後の住まいを考えるうえでの判断ポイントを解説します。
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目次
持ち家を売却し老後の資金に回す場合
老後の暮らしを考えるとき、多くの人が悩むのが「住まい」と「資金」のバランスです。持ち家を維持するか、売却して現金化するかによって、老後の安心感は大きく変わります。
今回のケースでは、持ち家を売却して1000万円を手に入れ、老後資金に充てる決断をしています。現金を確保しておくことは、医療費や介護費などの急な出費に対応できるという意味で心強い方法です。
特に、年金だけでは将来に不安を感じる方にとって、まとまった資金を持っておくことは大きな安心材料になります。
65歳からの賃貸暮らし
一方で、今回のケースでは「家賃10万円を毎月支払う」ことになります。年間で120万円、10年では1200万円です。売却で得た1000万円は、家賃を支払い続ければいずれ底をついてしまいます。
年金収入が月に20万円あったとしても、家賃を支払えば、残りは10万円です。食費や光熱費、医療費、趣味や交際費をまかなうには心もとないと感じる人も多いでしょう。そのため、家賃を払い続ける暮らしには「資金の減りが早い」というリスクが伴います。
持ち家に住み続けた場合のメリット
持ち家に住み続けた場合のメリットについて詳しくみていきましょう。
家賃がかからない安心感
持ち家の最大の利点は、毎月の家賃を支払わなくてよいことです。収入が限られる老後において、固定支出を減らせることは大きな安心につながります。
住み慣れた環境で暮らせる快適さ
長年住んできた家は、生活動線や周囲の人間関係が整っており、安心感があるものです。特に高齢になると、住み慣れた場所で過ごすことが精神的な安定につながります。
将来的な資産として残せる可能性
家は資産として子どもや孫に残すことも可能です。相続の際に分配で悩むケースはありますが、不動産を持っていることで「形ある財産」として残せる強みがあります。
持ち家を維持する際のデメリット
持ち家を維持する際に生じるデメリットについても確認していきましょう。
固定資産税や修繕費の負担
持ち家には固定資産税や火災保険料といった維持費がかかります。さらに屋根や外壁、給湯器や水回りの修繕など、長く住み続けることで大きな出費が発生することも避けられません。
高齢になるほど管理が難しくなる
庭の手入れや掃除、設備の管理など、体力を必要とする作業は高齢になると負担になります。日常的な管理ができなくなると、暮らしの質が下がる可能性があります。
資産価値の下落リスク
立地や築年数によっては、資産としての価値が下がり続けることもあるのが実情です。将来的に売却を考えた際に、期待したほどの資金にならない可能性もあります。
賃貸暮らしを選んだ場合のメリット
持ち家を売却して賃貸暮らしを選んだ場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
まとまったお金を老後資金に確保できる
今回のケースでは売却して得た1000万円は、老後の資金計画に大きなゆとりをもたらすでしょう。生活費の不足分を補ったり、医療費や介護費に備えたりできるのは大きな利点です。
修繕や管理の負担がない
賃貸では基本的に修繕や大規模なリフォームを自分で行う必要はありません。管理は大家や管理会社に任せられるため、日常の負担を軽減できます。
ライフスタイルに合わせて住み替えが可能
子どもが独立した後に夫婦2人で暮らすなら、広すぎる家は必要ないかもしれません。賃貸なら生活に合わせて住み替えができ、将来的に介護施設での生活に移行したい場合にもスムーズです。
賃貸暮らしのデメリット
賃貸暮らしのデメリットについても確認していきましょう。
家賃負担が続くことで資金が減少
最大のリスクは、毎月の家賃によって資金が減り続けることです。特に長生きすればするほど、総額は膨らんでいきます。
高齢になるにつれ契約が難しくなる可能性
年齢を重ねると、賃貸契約が難しくなる場合があります。保証人や保証会社が必要になり、条件を満たせないと希望する物件に入居できないケースがある点も、不安材料のひとつです。
更新料や引っ越し費用の負担
数年ごとの契約更新には費用がかかり、引っ越しを伴う場合にはさらに出費が増えます。老後の限られた資金でやりくりするには大きな負担でしょう。
結局どちらがよいのか? 選択のポイント
持ち家か賃貸か、どちらがよいかは一概には決められません。大切なのは「自分の資産状況」と「生活の価値観」を照らし合わせることで、より安心して暮らせる方法を考えることです。
・年金収入で家賃をまかなえるか
・修繕費を負担してでも持ち家を維持したいか
・将来の住み替えを想定しているか
これらの観点から選択するのが現実的だといえるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー