老後も賃貸暮らしだと「家賃総額2000万円超」!? 持ち家のほうがお得なの?

配信日: 2025.10.06 更新日: 2025.10.21
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老後も賃貸暮らしだと「家賃総額2000万円超」!? 持ち家のほうがお得なの?
私たちが住まいを決める際に、持ち家か賃貸か、どちらが“お得”なのかについて、悩むことがあります。結論をいえば、両者にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらが金銭的にお得なのかを決めることは困難です。
 
本記事では、老後の住まいのあり方について考えていきます。
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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家賃総額2000万円超となるケース

老後の住まいとして賃貸住宅を選択した場合、居住する全ての期間で一定の賃料を支払い続けなくてはなりません。仮に、老後を66歳から85歳までの20年間と想定すると、家賃総額は、単純計算で以下のように計算されます。
 

 月額賃料 8万円の場合:20年(240月)で、1920万円
 月額賃料10万円の場合:20年(240月)で、2400万円
 月額賃料12万円の場合:20年(240月)で、2880万円

 
至極単純に捉えれば、月額賃料がおおむね8万4000円以上となると、20年間での家賃総額は2000万円超となります。当然ながら、居住する地域、家族構成や必要となる住まいの広さなどにより月額賃料は大幅に違ってきます。
 
これらをまかなううえで老後資金の柱の一つである年金収入について、令和5年度の平均年金月額は厚生年金保険(第1号)で14万6429円となっています。この点でもご夫婦や親族との同居、一人暮らしなどの違いで家賃の負担感は変わってきます。
 

やっぱり持ち家がお得なのか?

持ち家の最大のメリットは、家そのものがご自身の資産であることが挙げられます。本章で、持ち家の場合の主なメリットや特徴を少し細かく見てみましょう。
 

(1)資産価値、特に土地という資産

通常、建物そのものは築年数によって償却が進むと、資産的な価値は減少してしまいます。しかし、ある意味経年による劣化の影響を受けない土地(敷地)には、一定の資産価値があります。通常、土地の評価は、路線価で土地に接する道路ごとに定められた価額を基に評価額が算定されます。
 

(2)維持コストとしての固定資産税、都市計画税の負担

土地家屋の所有者に対しては、維持費用として、毎年固定資産税や都市計画税(市街化区域内)が課されることになります。
 
固定資産税は、「課税標準額(固定資産課税台帳の登録価格)×1.4%」、都市計画税は、「課税標準額×0.3%」で計算されます。ただし、実際には「小規模住宅用地の特例」により200平方メートル以下の敷地は、固定資産税では6分の1に、都市計画税では3分の1に減額されることになります。
 
一つの目安として、4500万円の住宅用地(200平方メートル以下)の場合、固定資産税では課税標準額が750万円となり、税額は10万5000円、都市計画税では課税標準額が1500万円で、税額は4万5000円となり、合計15万円の税金負担が生じます(市区町村での負担軽減措置などは考慮していない)。
 
また、固定資産税の評価額は3年に一度評価が行われ、改定されます。令和7年時点では、首都圏などの全国の三大都市圏、さらには地方圏でも土地評価額の高騰の状況が続いており、固定資産税にも影響が出てくるものと思われます。
 
さらに、維持コストとの観点からすれば、経年による老朽化などでの修繕費や設備の更新費用も自己負担となるため、一定額見込んでおく必要があります。
 

(3)相続資産として次世代に承継する

不動産は亡くなった段階で、相続財産として相続人に継承されることになります。
 
仮に、同じ1億円の現預金と不動産を比較しても、不動産として相続することでその評価額が下がるため、相続税の軽減にもつながります。また、一定の条件を満たす場合には、小規模宅地等の評価減により、評価額の大幅な軽減を図ることができます。
 

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まとめ

賃貸住宅の場合は、比較的気軽に住み替え、引っ越しができる身軽さが最大のメリットとなるでしょう。それぞれのライフステージ、ライフプランに応じて、住まいの大きさや居住地域を替えていくことができます。
 
また、月額賃料が未来永劫同額で継続するとの保証がないことにも注意が必要です。多くの場合には、契約更新の際などに増額されるケースが想定されます(減額もあり得ます)。持ち家の場合には、土地を活用して自宅ではなく、賃貸物件に建て替え、不動産収入を得るなどの方法もあり得ます。
 
このようなメリット・デメリットを総合的に勘案し、それぞれの状況に応じて老後の住まいのあり方を判断する必要があります。単に金銭的に「どちらがお得なのか」だけではないことをしっかりと理解しましょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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