年金だけでは毎月赤字!? 高齢夫婦世帯の家計実態と“老後貧乏”を回避する方法とは?

配信日: 2025.10.07 更新日: 2025.10.21
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年金だけでは毎月赤字!? 高齢夫婦世帯の家計実態と“老後貧乏”を回避する方法とは?
人生100年時代を迎え、老後の暮らしに対する不安はますます高まっています。なかでも「年金だけで本当に生活できるのか」という問いは、多くの人が抱く切実な悩みでしょう。実際の統計データをみると、年金収入だけでは家計をまかなえず赤字になってしまう世帯も少なくありません。
 
本記事では統計データを基に、高齢夫婦世帯の家計の実態を明らかにし、そのうえで老後に赤字を避けるための具体策を紹介します。
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高齢夫婦世帯の家計実態:年金収入だけでは支出に届かない現実

総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、二人以上世帯の平均消費支出は月額30万243円でした。前年に比べても支出は増えており、物価上昇の影響が家計を圧迫していることがうかがえます。
 
65歳以上で無職の夫婦世帯に絞ると、収入は月額25万2818円で、そのうち年金など社会保障給付は22万5182円となっています。
 
一方で、消費支出と非消費支出を合わせた支出合計は28万6877円にのぼり、結果として毎月約3万4000円の赤字が生じている計算です。実際には貯蓄を取り崩したり、退職金を充てたりして補てんするケースが多く、年金だけでは安定した生活を維持するのは難しいことが分かります。
 

年金給付の実態

公的年金は老後の収入の柱ですが、その平均的な受給額はどのくらいなのでしょうか。
 
厚生労働省の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、令和5年度末時点における厚生年金保険(第1号)受給者平均年金月額は14万7360円で、国民年金の平均年金月額は5万7700円です。
 
また、日本年金機構によると、令和7年度における夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額は月額23万2784円です。
 
前述の平均的な支出額と比べると、年金だけで生活するという考えはさらに厳しいといえるでしょう。
 

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赤字を生む要因:支出とリスクの増大

年金が足りない最大の理由は、支出の水準が高くなる一方で、収入が固定されているためです。住居の維持費や光熱費、通信費はもちろん、食費や日用品といった日常的な出費も欠かせません。さらに高齢期は医療費や介護費用が増加しやすく、予想外の支出が家計を直撃することもあります。物価の上昇もじわじわと影響し、支出は年々増える傾向にあります。
 
加えて、長生きするほど生活費がかさむ「長寿リスク」や、制度改正による給付水準の変化、運用資産の不確実性など、将来の見通しを不安定にする要因も数多く存在します。つまり「年金だけで安心」という考えは、さまざまなリスクを前にして極めて脆弱であるといえます。
 

“老後貧乏”を避けるための具体策

では、どのようにすれば赤字を避け、安定した暮らしを維持できるのでしょうか。
 
第一に、自身と配偶者の年金見込額を正しく把握し、支出を詳細に洗い出すことが欠かせません。収入と支出を前提にシミュレーションを行えば、どれほどの不足が生じるかが具体的にみえてきます。
 
次に、支出を見直すことが有効です。例えば、住居の維持費を抑える工夫や、電気・ガス・通信など固定費の契約を見直すことで、長期的に大きな節約効果が得られます。保険についても、本当に必要な保障に絞ることで余分な支出を減らせます。
 
さらに、収入を補う手段を取り入れることも重要です。体力やスキルに応じてシニア雇用やパートタイム勤務を活用する人も増えています。資産に余裕がある場合は、投資信託や債券などリスクを分散した運用も選択肢になります。
 
また、年金を繰下げ受給することで、将来的な月額を増やす方法もあります。制度上の優遇措置や各種控除を活用することも、収支改善につながるポイントです。
 
そして、定期的に家計を見直し、必要に応じて生活設計を調整する柔軟さが、老後を安心して過ごすための大きな助けとなります。
 

まとめ:備えと行動で老後の不安を安心に変える

最新の統計からは、年金だけに頼ると高齢夫婦世帯の多くが赤字になるという厳しい現実が浮き彫りになっています。しかし、これはあくまで平均的なデータに基づいたものであり、早めに対策を講じれば状況は大きく改善できるでしょう。
 
自身の家庭における家計収支を正しく把握し、支出を工夫し、必要に応じて収入を補う仕組みを取り入れること、それが“老後貧乏”を回避し、安心して暮らしを続けるための第一歩です。将来に備える行動を今から始めることで、老後の不安を少しずつ安心に変えていくことができるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 I 家計収支の概況(二人以上の世帯)(1ページ)、II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II. 厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)、III. 国民年金 (2)給付状況 表20 国民年金 受給者の平均年金月額の推移(19ページ)
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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