78歳で一人暮らし。息子夫婦に同居を提案されましたが、「年金と貯金の管理」を条件にされています。受け入れるべきでしょうか?

配信日: 2025.10.13 更新日: 2025.10.21
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78歳で一人暮らし。息子夫婦に同居を提案されましたが、「年金と貯金の管理」を条件にされています。受け入れるべきでしょうか?
一人暮らしの不安と、同居の安心……その一方で「お金の管理」というデリケートな問題が突きつけられると、ためらいも生まれるでしょう。親の年金や貯金を「管理する」となると、知っておくべき制度やルールがいくつかあります。
 
この記事では、後見制度や財産管理のルール、同居時のリスク回避の工夫を具体的に紹介します。
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家族名義での「年金受取」は不可! 本人口座管理の原則

同居を条件に「年金と貯金の管理」を求められると、家族名義口座での受取や自由な引き出しを想像しがちですが、年金受取口座は原則として本人名義のみ指定できます。家族名義の口座での受取はできず、銀行での出金も原則は本人が行う建付けです。届出書類の記入は家族が代筆できる場合がありますが、それでも口座名義の原則は変わりません。
 
また、受給者が亡くなった際は「受給権者死亡届(報告書)」の提出で停止手続き、未支給年金は亡くなった受給者と生計を同じくしていた遺族が請求する流れです。停止を怠ると不正受給に該当する恐れがあるため、同居前に家族内で役割分担を明確化しましょう。
 

78歳で取れる選択肢は? 任意後見と法定後見の違い

「管理」を巡るトラブルを避けるには、法制度に沿った権限設計が有効です。判断能力が十分あるうちに結ぶ「任意後見契約」は、誰に何をどこまで委ねるかを契約で細かく決められるのが強みです。
 
一方で、判断能力が低下してからは家庭裁判所が成年後見人等を選任する「法定後見制度」を使います。法定後見制度は本人利益を最優先とし、資産の使い道が厳格に管理される仕組みです。
 

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同居の条件交渉テンプレ

同居の条件に「年金と貯金の管理」を含める場合は、口頭での合意ではなく、文書化することが重要です。その際、次の4点を盛り込んでおくと安心です。
 

(1)管理する権限の範囲を具体的に定める(例:公共料金・医療費・介護費の支払い、生活費の上限、定期預金の解約の可否など)。
 
(2)領収書や通帳のコピーを定期的に共有し、月ごとの簡単な収支報告を家族LINEや共有フォルダで可視化する。
 
(3)司法書士や社会福祉士、地域包括支援センターなどの第三者の相談窓口を設けるほか、任意後見契約の場合は必要に応じて家庭裁判所による任意後見監督人の監督を受ける。
 
(4)信頼関係が揺らいだ場合の中止条件を明記する(例:委任の撤回、任意後見監督人の関与要請、別居への移行など)。

 
これらは、任意後見契約や財産管理委任契約などと組み合わせることで、より実効性が高まります。
 

まとめ

同居の提案自体は生活面のメリットが大きい一方、年金や貯金の管理は家族裁量で進めるとトラブルの火種になり得ます。年金受取は本人名義が原則で、死亡時の停止・未支給年金手続きなどのルールも明確です。
 
判断能力が十分な今のうちに、任意後見制度で権限・範囲・監督を設計し、必要に応じて見守り契約や財産管理委任契約などを併用しつつ、月次報告と第三者チェックを組み込むことをおすすめします。
 
こうした枠組みがあれば、同居の安心感を保ちながらお金の透明性を高められるでしょう。まずは家族会議で「権限の範囲」「監督者」「やめる条件」などを箇条書きにして合意し、専門家への初回相談をセットにするところから始めてみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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