老後の年金は「月18万円」あれば、貯金は300万円で問題ない?65歳以降の暮らしに必要な貯金額を解説

配信日: 2025.10.19 更新日: 2025.10.21
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老後の年金は「月18万円」あれば、貯金は300万円で問題ない?65歳以降の暮らしに必要な貯金額を解説
「老後は年金だけで暮らせるのか?」「貯金はどのくらい必要か?」――これらは多くの人が抱える不安でしょう。
 
そこで今回は、以前に私が相談を受けた「年金が月18万円あるとして、貯金300万円で足りるのか?」という事例をもとに、老後に必要な貯金額についての考え方を解説します。
柘植輝

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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老後の生活費の目安は?

総務省「家計調査」によると、65歳以上の高齢無職世帯が実際に使っているであろう一般的な生活費(消費支出)の月平均額は以下の通りです。


・高齢単身世帯:およそ15万円
・高齢夫婦無職世帯:およそ26万円

ここでいう生活費とは、食費、住居費、光熱費、医療費、交際費などのいわゆる消費支出となり、税金や社会保険料などの非消費支出は含まれていません。他方、非消費支出を含めた1ヶ月の総支出(平均)は、次のようになります。


・高齢単身世帯:およそ16万円
・高齢夫婦無職世帯:およそ29万円

ここから、単身世帯であれば18万円の年金収入であっても、生活していくことは十分可能であると考えられます。貯金も300万円あれば、安心とまではいえないですが、多少の病気やけが、家具家電の買い替えなどであれば対応できるといえます。
 
一方で、夫婦世帯では毎月10万円前後の金額が不足することになります。これでは300万円の貯金があったとしても、2年半程度で尽きてしまいます。
 
そのため、夫婦世帯であれば、毎月18万円の年金収入と300万円の貯金があっても、不十分といえるでしょう。もし、貯金を切り崩して生活していくことを想定しているのであれば、少し余裕をもって、夫婦ともに90歳まで生きると仮定し、65歳からの25年分で3000万円程度は用意しておきたいところです。
 

貯金がなければ老後は生活できないのか

では、夫婦世帯の場合、月18万円の年金収入と貯金300万円の貯金があっても、生活していくことができないのでしょうか。答えはNOです。
 
例えば、有効な方法のひとつとして、定年退職後も再就職や再雇用などで働き続けるという手があります。夫婦2人のうち、どちらか一方でもフルタイムで働くことができれば、雇用形態などにもよりますが、夫婦合わせて月30万円近く稼ぐことも不可能ではないでしょう。
 
そうすることによって、月額40万円以上の収入を得ることも難しくはなく、老後も生活していくことができます。
 
そして、同時に通信費や保険料、家賃など、支出を見直して削減していき、貯金もしていくことができれば、なお理想的でしょう。
 

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リスク許容度に応じて資産運用も

正直なところ、働きながら貯金だけでお金を増やしていくことはそう簡単ではありません。そこで、リスクの許容度や年齢に応じて、新NISAやiDeCoといった資産運用で資産を増やしていくことも必要です。
 
例えば、10年間、毎月3万円を貯金しても、貯金額は360万円ですが、新NISAを利用して年利3%で運用することができれば、元利合わせて418万円と1.1倍近い資産額に増やすことができます。
 
とはいえ、資産運用は、短期的に見れば、世界情勢や市場の動向などで資産が目減りすることもあります。そのため、最近話題の新NISAを含め、資産運用に不安がある場合は、無理に行わず、貯金で堅実に備えていくことも大切です。
 

まとめ

老後の年金が月18万円、貯金が300万円という条件で生活していけるか考えると、単身者であれば不可能ではないが、夫婦世帯ではかなり難しいのが現実です。
 
とはいえ、単身であっても、決して余裕のある生活とは言い切れません。特に、夫婦世帯であれば、3000万円ほどの貯金が追加で必要となる見込みです。
 
老後の生活は、だれもが不安に感じるもの。その不安を老後に持ち越さないように、今一度生活について見直し、老後に備えて、貯金や新NISAなどでの資産運用を検討しつつ、将来の就労についても視野に入れて、老後の計画を立て直してみてください。
 

出典

総務省統計局 2024年(令和6年)家計の概要
 
執筆者 : 柘植輝
行政書士

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