祖父は80歳を過ぎても働き続けています。祖母の分と合わせて年金「月20万円ほど」もらっているはずなのですが、それでも足りないんでしょうか…?

配信日: 2025.10.21
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祖父は80歳を過ぎても働き続けています。祖母の分と合わせて年金「月20万円ほど」もらっているはずなのですが、それでも足りないんでしょうか…?
祖父は祖母とあわせて年金を月20万円ほどは受給しているはずだけれど、80歳を過ぎても働き続けているということは、年金だけでは足りないからなのだろうか――そのような疑問を抱く方もいるかもしれません。
 
実際、統計データを見ると、高齢夫婦世帯の生活費は年金収入を上回ることが多い傾向にあり、年金だけでは“足りない”ケースがしばしばあります。
 
しかし、高齢者が働き続けるのは、単に家計の赤字を埋めるためだけではありません。健康維持、生きがい、社会とのつながりといった要素も、重要な要因として働いています。
 
本記事では、統計データをもとに、年金収入と支出の実態を把握したうえで、高齢者が働き続ける背景を多面的に整理します。
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年金収入「月20万円」がどの程度か:支出との対比

総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の月平均消費支出はおよそ25万7000円とされています。1ヶ月の可処分所得は約22万2000円とされ、月に3万4000円ほどの差が生じていることが分かります。
 
また、公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によれば、夫婦2人の老後に必要な最低日常生活費は月平均23万円ほどで、ゆとりのある暮らしを送るには平均で月38万円近くが必要とされています。
 
こうして見ると、月20万円の年金収入は、平均的な生活費に対して不足しているのが現実です。
 
年金の内訳や住居費、医療費の負担状況によって多少の違いはありますが、特に賃貸住まいであったり、医療・介護費がかさんだりすると、赤字が発生しやすくなります。そのため、年金だけでは生活の安定を保ちにくく、働き続けて補うという選択を取る人が増えているのです。
 

働き続ける理由は収入補てんだけではない:健康・生きがい・社会参加

高齢者が働き続ける理由は、家計のためだけではありません。
 
内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、65~69歳の就業率は53.6%、70~74歳では35.1%、75歳以上でも12.0%と、どの年齢階級においても就業率は年々上昇傾向にあります。もちろん収入面の必要性もありますが、そのほかにも「健康維持」や「生きがい」などを理由に挙げる人もいます。
 
働くことで日常的に体を動かし、外に出る機会が増えます。人と関わり、社会とつながることは、心身の健康を保つうえでも大切です。実際、定年後に急に活動をやめると、体力や気力が低下するという指摘もあります。
 
また、「自分が誰かの役に立っている」「まだ社会に必要とされている」と感じられることが、生きがいを支える要素にもなっているといわれています。
 
一方で、働く際には制度上の注意点もあります。例えば、在職老齢年金制度では、一定以上の収入があると年金額が調整される場合があります。働きすぎると受け取れる年金が減るケースもあるため、働き方や収入のバランスを考慮することが大切です。
 

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まとめ:年金+働き続ける意味と注意すべき点

夫婦で月20万円の年金は、平均的な支出水準と比べると5万円ほど不足するため、赤字を補う目的で働く人が多いのは自然なことです。
 
ただし、高齢者が働く理由はお金だけではありません。体を動かすことが健康維持につながり、仕事を通じた社会参加が生きがいを与えてくれる側面もあります。働くことが、経済的にも精神的にも“老後を支える柱”になっているのです。
 
一方で、働く際には年金との兼ね合いや体力面の無理を避ける工夫も必要です。負担の少ない働き方を選び、無理なく長く続けることが、老後の生活を豊かにする鍵となります。家計を守るために働くというよりも、「元気でい続けるために働く」という前向きな姿勢こそが、これからの時代の高齢者の新しいスタンダードなのかもしれません。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
公益財団法人 生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 第III章 老後保障 2.老後生活に対する意識 (2)老後の最低日常生活費(109ページ)、(5) ゆとりある老後生活費(115ページ)
内閣府 令和7年版高齢社会白書 第1章 高齢化の状況 第2節 高齢期の暮らしの動向 (2)就業状況(19ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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