「退職金2000万円があっても不安だ」と、定年後も再就職する予定の夫。定年後に働いている人の平均収入はどれくらいなのでしょうか?
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
65歳以降も働く人が増えている背景
日本は世界でも有数の長寿国です。厚生労働省の「令和6年簡易生命表」によると、令和6年の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳と、定年後の生活期間が20年以上にも及ぶことも珍しくありません。その一方で、公的年金の支給開始年齢は原則65歳。年金だけでは生活費がまかないきれず、再雇用や再就職を選ぶ人が増えています。
内閣府が公表している「令和6年版高齢社会白書」によると、65歳以上の就業率は13.4%でした。年齢別の割合を見ると、65~69歳は53.5%、70~74歳で34.5%、75歳以上は11.5%でした。
定年後再就職者の平均収入
では、実際に定年後も働く人たちはどのくらいの収入を得ているのでしょうか。同調査によると、高齢者世帯の平均所得金額は318.3万円、平均等価可処分所得金額は226.0万円でした。
再雇用で同じ会社に残る場合、給与は現役時代の半分程度になるケースが一般的です。たとえば現役時代に年収600万円だった人が、再雇用後は300万円前後になる、といった形です。一方、パートやアルバイトの場合はさらに低く、年収100万〜200万円程度にとどまるケースもあります。
年金と合わせた「老後の手取り収入」
再雇用による収入だけでなく、多くの人は年金を合わせて生活資金を確保しています。厚生年金を受け取る夫婦世帯の場合、平均的な年金受給額は月22〜23万円ほど(夫婦合計)。これに再就職の給与が加わることで、毎月の手取りはおよそ40万円前後になる計算です。
ただし、この金額はあくまで「標準的」な例です。住宅ローンが残っていたり、子どもの支援を続けていたりすると、実際に使える金額はさらに減ります。そのため、「退職金2000万円があっても、将来の医療費や介護費を考えると不安」と感じる人が多いのです。
「お金のため」だけではない働く理由
定年後に働く理由は、経済的な事情だけではありません。内閣府の調査によると、60歳以上の就業者の約半数が「社会とのつながりを持ちたい」「生きがいを感じたい」と答えています。長年働いてきた人にとって、仕事は生活の一部。急にすべてを手放すと、むしろ孤独や無気力に陥るケースもあります。
また、近年は「シニア人材の活用」を掲げる企業も増加中。経験や知識を生かせる職場が増えたことで、「働けるうちは働きたい」という前向きな選択がしやすくなっています。
老後資金の不安を減らすためにできること
もし「退職金2000万円があっても不安」と感じるなら、まずは生活費の棚卸しから始めてみましょう。年金+再就職収入で毎月いくら入るのか、生活費や医療費がどのくらいかかるのかを具体的に把握することが大切です。
また、近年ではシニア向けの在宅ワークやフリーランス案件も増えています。体力的な負担を減らしつつ、得意分野で収入を得る選択肢も広がっています。働き方を工夫することで、精神的にも経済的にも「安心できる老後」を実現できるでしょう。
老後の安心は“お金”だけでなく“生き方”から生まれる
退職金2000万円は決して少ない金額ではありません。しかし、長い老後を見据えると「まだ足りない」と感じるのも自然なことです。
定年後も働く人の平均収入は200万〜300万円前後。年金と組み合わせて生活するのが一般的ですが、重要なのは「どう働きたいか」「どんな生活を送りたいか」を見つめ直すことです。
不安を埋めるのはお金だけではなく、「自分らしく生きるための選択」でもあります。老後こそ、人生の新しいステージの始まりです。安心して前に進むための準備を、今から始めてみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省 令和6年簡易生命表
内閣府 令和6年版高齢社会白書
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー