定年退職した友人が「団地に住めば家賃が2万円になる」と言っていました。今住んでいる一軒家から“公営の団地”や“UR賃貸住宅の団地”へ移り住むことは可能なのでしょうか?

配信日: 2025.10.24
この記事は約 4 分で読めます。
定年退職した友人が「団地に住めば家賃が2万円になる」と言っていました。今住んでいる一軒家から“公営の団地”や“UR賃貸住宅の団地”へ移り住むことは可能なのでしょうか?
定年退職後は「年金だけでは生活費が不安」「老後のための貯蓄を少しでも増やしたい」と考える方は多いでしょう。そんなとき、「団地に住めば家賃が2万円になる」という話を聞いたら、魅力的に感じるかもしれません。
 
しかし、現在、持ち家の一軒家に住んでいる場合、団地に移り住むことは実際に可能なのでしょうか。本記事では、定年後の団地への住み替えや入居条件、手続きの流れ、具体的な節約効果、そしてメリット・デメリットを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

定年後の団地へ住み替えは可能か? 入居条件の壁

結論のみを言えば、現在一軒家に住んでいる方が団地に移り住むことは可能です。ただし、団地の種類によって入居条件が異なります。
 

市営・県営などの公営住宅

「家賃が2万円」という水準を現実的に目指せるのは、市営・県営などの公営住宅です。公営住宅は低所得者層を対象としており、家賃は世帯所得と部屋の広さに応じて決定されます。
 
そのため、定年退職後に年金生活へ移行し、所得が基準以下となれば、家賃は大幅に下がる可能性があるでしょう。
 
ただし、公営住宅の最大の壁は、入居条件として「住宅や持ち家(戸建てや分譲マンション、土地など)を所有していないこと」が求められる点です。そのため、一軒家を所有している方が入居を希望する場合は、自宅を売却または処分し、持ち家がない状態にする必要があります。
 

UR賃貸住宅の団地

UR賃貸住宅(都市再生機構)の団地は、公営住宅と比べて所得の基準がゆるやかで、家賃の4倍の月収があれば入居できます。定年後で無職・年金生活者となった場合でも、貯蓄額が家賃の100倍以上あれば入居できる「貯蓄基準」も設けられています。
 
UR賃貸住宅では持ち家の有無を問われないため、自宅を売却せずに入居することも可能です。ただし、家賃は一般相場より安いものの6~10万円程度、広さによってはそれ以上となり、家賃2万円台の物件を見つけるのは難しいのが実情です。
 

一軒家を売却して団地に住み替える際の手続きと費用

公営住宅への入居を目指すために一軒家を売却する場合は、手続きに時間と費用がかかるため、計画的に進めなくてはなりません。
 
公営住宅の申し込みには、「売却済み」または「確実に売却する見込み」の証明が必要です。そのため、売却完了までのスケジュールを逆算して手続きすることになります。
 
また、売却時には、売却価格に応じた仲介手数料の支払いなども発生します。例えば、売却額1500万円の場合、上限で約56万円の手数料がかかります。また、利益が出た場合には譲渡所得税などの税金もかかる可能性があるでしょう。
 
さらに、引っ越し費用に加えて、団地入居時には公営住宅では家賃3ヶ月分、UR賃貸住宅で家賃2ヶ月分程度の敷金が必要です。
 
公営住宅は年2~4回程度の募集があり、抽選となるためすぐに入居できるとは限りません。一方、UR賃貸住宅は随時申し込みが可能で抽選がないため、比較的スムーズに入居できます。
 
現在の一軒家から団地に入居するためには、一軒家の売却を円滑に進めることと、公営住宅の抽選に当選するかどうかが大きなポイントです。
 

【PR】株式会社アートネイチャー

おすすめポイント

・自毛になじむ自然な仕上がり
・気になる部分だけのピンポイント対応OK
初めてでも安心のカウンセリング体制

団地暮らしで得られる節約効果

団地への住み替えによって固定費を削減できれば、老後の生活に大きなゆとりが生まれます。一軒家で必要だった固定資産税やリフォーム費などの住宅維持費が、公営住宅の家賃に置き換わることで大幅な軽減が見込めるでしょう。
 
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の「2024年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査報告書」によると、世帯主が50代以上のリフォーム実施者の平均支出額は約282万円でした。団地に住み替えることで、このような修繕費を準備しなくても済みます。
 
また、UR賃貸住宅などでは利便性の高い立地やバリアフリー設計が採用されていることが多く、高齢期の生活に適した環境が整っています。
 
一方で、公営住宅は抽選制のため、入居時期を選びにくいことや、古い団地では設備が旧式な場合がある点には注意してください。さらに、集合住宅ならではの生活音など、一軒家とは異なる環境への適応も求められます。
 

定年後に団地へ住み替えられれば生活費の削減へ

定年後に一軒家を売却して団地に住み替えることは、老後の生活費を大幅に削減できる有効な選択肢の一つです。
 
「家賃2万円」で生活したいならば、自宅の売却を終え、公営住宅の所得基準と「持ち家なし」という条件を満たさなければなりません。一方、売却せずに住み替えたい場合は、UR賃貸住宅の貯蓄基準での入居を検討するとよいでしょう。
 
まずは入居条件や募集情報を確認し、自身の状況に合った団地を探すことが大切です。老後の安心した暮らしを実現するためにも、興味がある場合は早めに情報収集を始めてみてはいかがでしょうか。
 

出典

UR都市機構 お申込み資格
東京都 都営住宅の入居資格
国土交通省<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ
国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 2024年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問