介護4の母が特養を利用中、「認定取り消し」の通知が…。原因は預貯金1000万円超えでした。今後、再び認定を受けるにはどうすればいいですか?
ところが、ある日突然「要介護認定取り消し」の通知が届いた―。そんな場合はどうなるのでしょうか?本記事で解説していきます。
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目次
介護認定取り消しの背景にある「収入・資産」との誤解
まず押さえておきたいのは、介護保険の要介護認定は原則として「経済状況」では左右されないという点です。介護認定は、本人の心身の状態、日常生活の自立度、認知症の有無など、医学的・介護的な観点で判断されます。
したがって、預貯金が1000万円を超えたこと自体で「認定が取り消される」ことは通常ありえません。では、なぜこのような通知が届いたのでしょうか。
想定される原因 実態調査の結果や手続き上の問題
多くの場合、取り消しの理由は以下のようなケースに該当します。
1.要介護認定の有効期間満了に伴う更新手続きの遅れ
介護認定には有効期限(原則6ヶ月〜12ヶ月)があり、期限を過ぎると自動的に無効になります。更新申請を忘れたままになると、認定が失効し「取り消し」とみなされることがあります。
2.実態と申請内容の不一致
例えば、入院などで長期間介護サービスを利用していなかった場合、「介護が不要」と判断されることがあります。また、調査員が訪問した際に家族が十分に現状を説明できなかった場合、心身の状態が軽く評価されることも。
3.資産状況が原因と誤解されたケース
預貯金や不動産の有無は「介護保険料の負担額」や「施設の補足給付(食費・居住費補助)」に影響しますが、要介護認定そのものには関係ありません。しかし、補足給付の見直しにより「負担区分」が変わり、結果的に費用負担が増えたため「介護認定が取り消された」と誤解されるケースもあります。
取り消し後に再び認定を受けるには?
もし本当に「要介護認定の取り消し」が行われた場合、まずすべきは市区町村の介護保険課に確認することです。通知書には「取り消し理由」と「不服申し立て手続き」が記載されているはずです。内容を確認し、以下の対応を進めましょう。
1. 不服申し立てを行う
納得できない場合、「介護保険審査会」へ不服申し立てを行えます。通知から3ヶ月以内に提出し、再調査や再審査を求めます。医師の意見書や介護記録など、介護の必要性を裏付ける資料を添えると有利になります。
2. 新たに要介護認定を申請する
手続き上の失効や軽度判定による取り消しであれば、再申請が可能です。申請は市区町村窓口または地域包括支援センターで行い、再び調査・審査を受けます。重要なのは、現在の介護状況を正確に伝えること。訪問調査の際は、家族が同席して介助の実態を具体的に説明するとよいでしょう。
3. 特養との連携を保つ
認定が取り消されると、特養の入所要件を満たさなくなる可能性があります。ただし、施設側も事情を理解してくれることが多く、再申請中は退所猶予を設けてくれる場合もあります。必ず施設の相談員に状況を共有しましょう。
経済的支援の見直しにも注意
今回のように「預貯金1000万円超え」というキーワードが出てくる場合、影響を受けるのは要介護認定ではなく、介護費用の自己負担や補足給付の対象です。
令和7年度以降、介護保険制度の改正により、高所得層の補助縮小が進む方向にあります。そのため、資産が一定額を超えると「補足給付の対象外」になり、月数万円の負担増となることがあります。
手続きの見直しと情報整理が第一歩
「認定取り消し」という言葉を目にすると驚きますが、慌てず冷静に手続きを確認しましょう。多くのケースでは書類の不備や期限切れが原因です。市区町村の介護保険課、ケアマネジャー、特養職員と連携し、再申請や不服申し立てを進めることが最善の道です。
預貯金の額が多いからといって介護認定がなくなるわけではありません。大切なのは、現状の介護の必要性を正しく伝え、継続的な支援を受けることです。
出典
厚生労働省 要介護認定はどのように行われるか
さいたま市 要介護認定の有効期間は決まっていますか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー