老後必要となる最低生活費は「約30万円」!? 年金だけで足りるの? 標準的な年金額をもとに老後の家計収支をシミュレーション
一方で、年金の標準支給額は夫婦2人で23万円ほどです。このギャップをどう埋めるかが、老後の安心を左右します。
本記事では、老後の最低生活費はいくらくらい必要と考えられているのか、またその最低生活費を年金だけでまかなえるのかについて解説します。現役世代のうちに「未来の家計」をシミュレーションしておきましょう。
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60代が考える「最低生活費」は月31万円前後
「老後の生活費は最低どれくらい必要か?」というのは関心の高いテーマでしょう。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年(二人以上世帯)」では、60代が考える「ひと月当たりの最低生活費」が平均でおよそ31万円と示されています。
世帯ごとの事情は異なるものの、「30万円前後」が生活の目安という肌感覚は、多くの読者にも納得感があるのではないでしょうか。
一方で、世帯の消費支出という観点の公的統計を見ると、総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」で、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における消費支出は月平均で約25万7000円、65歳以上の単身無職世帯では約15万円となっています。
老後の最低生活費は年金だけでまかなえる?
まずは年金の「目安」を確認しましょう。日本年金機構は2025年度(令和7年度)の年金額について、老齢基礎年金(満額)が月額6万9308円、標準的な厚生年金額(夫婦2人分の老齢基礎年金を含むモデル年金額)が月額23万2784円と公表しています。
つまり、夫婦の標準的なモデルでは「年金だけ」で約23万3000円です。冒頭の「60代が考えるひと月当たりの最低生活費31万円」を目安にすると、毎月およそ8万円近くの不足が生じます。
もちろん、住居費の有無(持ち家か賃貸か)、医療費や交通費、働き方や地域差で必要額は変わります。ですが、「年金=生活費の全額」では届きにくいケースが相当数ある、というのが率直な見立てです。
家計の現実とギャップを埋める3ステップの対策
まずは「現在の支出」を把握するのが近道です。家計調査の費目構成を見ると、夫婦高齢者無職世帯では「食料」「交通・通信」「光熱・水道」などが主要費目です。特にこれらの項目を見直すことで、高い節約効果が期待できます。
次に「年金見込み」を確認しましょう。将来の受取額は加入実績や働き方などで変わります。最新の年金額の基準や通知の案内は日本年金機構のサイトなどで確認できます。ねんきん定期便やねんきんネットで見込み額をチェックし、月額の受給目安を把握しましょう。
最後に「不足分の設計」です。前述の金融経済教育推進機構(J-FLEC)の調査は、老後資金の必要認識や金融資産保有状況も示しており、計画的な貯蓄・運用や就労継続の重要性を示しています。これらを参考に、老後の資金計画を立てましょう。
まとめ
老後の生活費は、年金だけでは不足する場合があります。まずは現在の支出を整理し、「ねんきんネット」などで年金の見込み額を確認することが第一歩です。そのうえで、不足分を補うために貯蓄や資産運用、退職後の就労継続などを計画的に組み合わせることが大切です。
早めに家計の全体像を見える化し、将来に備えた「自分たちの老後設計」を立てていきましょう。
出典
金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2024年 二人以上世帯 各種分類別データ 45 老後のひと月当たり最低生活費・年金支給時に最低準備しておく金融資産残高
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(19ページ)
日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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