70代で「貯蓄300万円」という両親。年金もあるとはいえ“少なすぎる”でしょうか?「平均・中央値」と比較
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70代の貯蓄額の実態は?平均値と分布をチェック
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、世帯主が70歳以上の二人以上世帯の貯蓄現在高の平均値は2441万円です。2441万円という金額を見ると、300万円はかなり少ないように感じられます。
しかし、平均値は一部の富裕層によって引き上げられやすいため、より実態に近い数値も確認する必要があります。
世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄額の分布は、総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると以下のようになっています。
・300万円未満:14.8%
・300万円~2500万円:50.0%
・2500万円以上:35.2%
上記の分布をみても、貯蓄300万円以下の世帯は全体の約15%程度であり、多数派ではないことが分かります。
300万円という貯蓄額は、平均値が2441万円であることと、300万円未満が約15%であることを考慮すると、中央値よりも低い水準であると推測されます。
70代で貯蓄300万円は少ない?
総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の実収入は、月額約25万円、消費支出は月額約26万円です。
300万円の貯蓄があれば、最低限の生活はできますが、高齢になるほど医療や介護のサポートを要する可能性が高くなり、その分の費用を考慮しなくてはなりません。
平均余命まで過ごすために必要な金額は?
厚生労働省の「令和6年簡易生命表」によると、70歳男性の平均余命は約15.6年、70歳女性の平均余命は約20.0年です。
夫婦の場合、少なくとも片方が90歳まで(70歳から20年間)生きる可能性を考慮し、実収入月25万円、消費支出月26万円という生活を想定してみます。
・毎月の収支:収入25万円-支出26万円=マイナス1万円
・年間の赤字:1万円×12ヶ月=12万円
・20年間の赤字総額:12万円×20年=240万円
上記のシミュレーションでは、20年間で240万円の貯蓄が必要という結果となり、300万円で賄える計算となります。
ただし、実際の必要額は以下の要因により大きく変動します。
・年金受給額(厚生年金か国民年金か)
・持ち家か賃貸か(住居費の有無)
・健康状態(医療費・介護費)
・生活水準(趣味・旅行・食費など)
年金が平均よりも多かったり、持ち家で毎月の家賃を支払う必要がなかったりする場合は、貯蓄の不足額が少なくなる可能性があります。
貯蓄と収支バランスを確認して老後生活を設計しよう
70代で貯蓄300万円は、統計的にみると少ない金額といえます。70歳以上の無職世帯の夫婦でどちらかが90歳まで生きることを想定すると、300万円の貯金額では生活費用が大幅に不足する可能性があります。
しかし、貯蓄の過不足状況は、家庭の収支バランスにより大きく異なります。生活費用の金額だけでなく、年金受給額や健康状態によっても大きく変動することを認識しておきましょう。
安心して老後を過ごすためには、現在の年金受給額や毎月の生活費を正確に把握し、医療・介護費用なども含めた今後の生活設計を立てることが大切です。
出典
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要
厚生労働省 令和6年簡易生命表の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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