高齢者の貯蓄額、平均値は「2300万円」程度。中央値はどれくらい? 老後資金の現実を探る

配信日: 2025.10.31
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高齢者の貯蓄額、平均値は「2300万円」程度。中央値はどれくらい? 老後資金の現実を探る
「人生100年時代」と言われる昨今、老後の生活設計は多くの人にとって避けて通れない課題です。特に気になるのが、退職後の生活を支えるための「老後資金」がどれくらい必要か、そして自分の貯蓄がそれに足りているのかという点でしょう。
 
ニュースやネット記事ではしばしば「平均貯蓄額」という数字が登場しますが、実際に参考にすべきなのは「中央値」と呼ばれる、より実態に近い指標です。
 
この記事では、最新のデータをもとに高齢者の貯蓄額の中央値を明らかにしつつ、必要な老後資金とのギャップ、そして今からできる備えについて分かりやすく解説します。
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高齢者の貯蓄額、実態は「平均」より「中央値」を見る

老後の生活費を考える際に気になる貯蓄額ですが、「平均値」は一部の資産が多い世帯の影響で数値が高く出る傾向にあります。そのため、実情に近い水準を知るには「中央値」が参考になります。
 
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)二人以上世帯」によると、60代世帯の金融資産保有額の中央値は650万円、70代では800万円となっています。いずれも1000万円に届かず、貯蓄があまり多くない層も一定数存在することが分かります。
 
一方で、総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)」では、60~69歳の世帯における純貯蓄額の平均は2389万円、70歳以上の世帯では2385万円とされています。中央値との乖離(かいり)が大きいのは、やはり一部の高資産世帯が平均を引き上げているためと考えられます。
 
つまり、平均だけを見て自分の貯蓄が「足りない」と感じる必要はなく、多くの人が中央値付近にいるという現実を正しく理解することが重要です。
 

老後に必要な貯蓄額は? 中央値と比較して見える現実

では、老後の暮らしに必要な貯蓄額はどの程度でしょうか。総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の家計収支は約3万4000円の赤字となっており、老後30年間ではおよそ1200万円不足する計算です。
 
この不足分を仮に全て貯蓄で補う場合、前述した60代~70代世帯の貯蓄額の中央値である650万円~800万円より多い水準となります。つまり、貯蓄が中央値程度でも最低限の生活は可能とみられますが、老後の赤字分を全て補い切ることはできず、また医療や介護など予期せぬ支出を考えると、やや不安が残る層もあるといえるでしょう。
 
ただし、実際の生活費は世帯の収入状況や持ち家の有無、働き方などで大きく変わります。例えば、65歳以降も働いて収入を得ることができれば、貯蓄を取り崩すスピードを抑えることができ、老後資金の不安も軽減されます。
 

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不安を減らすために今からできること

老後資金に不安がある場合、貯蓄を増やすだけでなく、収入源の確保や支出の見直しが重要です。退職後も可能な範囲で働き続けたり、副収入を得たりすることで、生活の安定につながります。また、生活費を把握し、ムダを見直すことも有効です。
 
さらに、貯蓄の運用や取り崩し方もポイントです。預金を少しでも効率よく運用したり、老後資金を何年で使い切るかという見通しを立てたりすることで、お金の「寿命」を延ばすことができます。
 
また、定期的に自身の家計や健康状態を見直すことも大切です。ライフスタイルや支出は変化するものなので、都度調整することで、無理なく現実に合った老後の暮らしが実現しやすくなります。
 

まとめ

高齢者世帯の貯蓄額は、60代で中央値650万円、70代で800万円と、多くの世帯は「1000万円以下」に位置しています。一方、老後に必要とされる貯蓄額は1200万円程度と考えられ、中央値との間にややギャップがあるものの、働き方や支出のコントロールによって十分に対応可能な水準でしょう。
 
「平均」と「中央値」の違いを理解し、自分の立ち位置を客観的に把握することが、老後の不安を減らす第一歩となります。今のうちから収入・支出・資産の管理を少しずつ見直すことで、将来に備えた生活設計が可能になるでしょう。
 

出典

金融経済教育推進機構(J-FLEC) 家計の金融行動に関する世論調査 2024年 二人以上世帯 各種分類別データ 4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)(4ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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