定年後も「家賃7万円」の“賃貸住宅”に住み続けたいです。夫婦の年金は「月25万円」ですが、普通の生活をしながら住み続けるためにはどれくらいの貯金が必要ですか?

配信日: 2025.11.04
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定年後も「家賃7万円」の“賃貸住宅”に住み続けたいです。夫婦の年金は「月25万円」ですが、普通の生活をしながら住み続けるためにはどれくらいの貯金が必要ですか?
定年を迎え、夫婦二人の生活の柱が年金に移行すると、「家賃7万円の賃貸にこのまま住み続けられるのか」という不安は現実的な問題となります。夫婦で月25万円の年金収入は、平均と比べて差があるのか、そして普通の生活ができるのか気になるところでしょう。
 
本記事では、公的データを基に生活費をシミュレーションし、家賃7万円を払い続けた場合に、毎月どの程度の赤字が発生するのかを算出します。そのうえで、その赤字を補うために、老後どのくらいの貯金が必要になるのかを具体的に解説します。
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夫婦の年金月25万円は「平均的」

夫婦で月25万円の年金収入という金額を、高齢者夫婦世帯の平均的な年金受給額と比較してみましょう。日本年金機構によると、厚生年金と国民年金を合わせた夫婦二人分の平均的な年金受給額は、令和7年度で月額23万2784円です。
 
また、総務省の2024年の「家計調査報告」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における実収入のうち「社会保障給付」の平均額は月額22万5182円となっています。したがって、月25万円の年金収入は平均的な水準をやや上回っています。
 
次に、高齢世帯の支出の実態を確認し、年金が十分に足りているのか確認してみましょう。
 

高齢夫婦世帯の平均支出額

総務省の2024年「家計調査報告」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計状況は図表1のとおりです。
 
図表1

項目 平均月額
消費支出
(食費、光熱費、住居費など)
25万6521円
非消費支出
(税金、社会保険料など)
3万356円
実支出合計 28万6877円

総務省 家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要を基に筆者作成
 
税金や社会保険料などの「非消費支出」を含めた支出総額は月28万6877円にのぼります。
 
なお、ここに含まれる「住居費」は月1万6432円ですが、持ち家世帯が含まれることで低めの金額となっている点に、注意が必要です。
 
家賃7万円をそのまま住居費とした場合、その分必要な支出が高くなります。
 

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家賃7万円の賃貸生活での生活費シミュレーション

年金収入が月25万円の世帯が、家賃7万円の賃貸住宅に住み続けた場合を想定してシミュレーションしてみます。家計調査報告の住居費「1万6432円」との差額は「5万3568円」です。実支出合計額「28万6887円」にこの差額を上乗せした場合、想定される毎月の総支出合計額は「34万445円」となります。
 
つまり、月25万円の年金収入では、毎月約9万円の赤字が発生する計算です。この赤字を長期間にわたって補てんするには、年金生活に入る前に貯蓄をしておく必要があります。
 

賃貸生活を維持するために必要な貯金額と対策

毎月約9万円の赤字を貯金で補う場合、老後30年間(65歳から95歳まで)に必要となる金額を計算してみると、「9万円×12ヶ月×30年=3240万円」となります。
 
さらに、家賃のほかにも2年ごとに家賃1ヶ月分の更新料がかかると仮定すると、30年間で15回の更新により合計約105万円が別途必要です。
 
また、病気や介護といった予期せぬ出費にも備える必要があります。そのため、生活維持に必要な金額としては、最低でも3500万円程度の貯金を確保しておくのが望ましいでしょう。
 
もし3500万円の貯蓄を確保するのが難しい場合は、定年後すぐに年金生活へ移行するのではなく、できるだけ長く働き続けて「年金の繰下げ受給」を検討するのも一案です。
 
例えば、年金の受給を65歳からではなく70歳からに繰り下げた場合、年金額は42%増となり、25万円が約35万5000円に増額されます。月35万円を超える収入になれば、家賃7万円の賃貸住宅に住み続けても、毎月の支出はほぼ赤字になりません。
 

老後30年間で約3500万円の貯金が必要

夫婦の年金収入が月25万円というのは平均的な水準ですが、家賃7万円の賃貸住宅で生活を続ける場合、毎月約9万円の赤字が発生する可能性があります。30年間で約3500万円の貯金が必要となる厳しい現実が見えてきます。
 
現在の賃貸生活を維持したい場合は、この目標貯金額を達成できているか確認し、不足している場合は年金の繰下げ受給などの対策を検討しましょう。老後を安心して暮らすためには、今回のシミュレーションを参考に、早めに家計の見直しと資産形成を進めることが重要です。
 

出典

日本年金機構 令和7年4月分からの年金額等について
総務省 家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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