父が退職金「2000万円」のうち、「800万円」をマイホーム資金で援助してくれました。助かるのですが、老後資金は「2000万円」なくても大丈夫なんでしょうか? 貯金もほとんどないと聞いているので心配です…

配信日: 2025.11.04
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父が退職金「2000万円」のうち、「800万円」をマイホーム資金で援助してくれました。助かるのですが、老後資金は「2000万円」なくても大丈夫なんでしょうか? 貯金もほとんどないと聞いているので心配です…
マイホーム購入時、親からの資金援助は非常にありがたいものです。しかし、援助を受けた一方で「老後資金が減ってしまって大丈夫なのか」と心配になる方も多いでしょう。とくに退職金が主な老後資金となる家庭では、まとまった額の援助が将来に与える影響も無視できません。
 
この記事では、「老後2000万円問題」と呼ばれる老後資金の目安に触れつつ、実際に退職金の一部を家族に援助した場合でも安心して暮らせるのか、公的データや生活実態をもとに考えていきます。
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「老後資金2000万円問題」の正体とは?

「老後資金2000万円問題」という言葉は、2019年に金融庁の金融審議会 市場ワーキング・グループが公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」に端を発しています。
 
この報告書では、高齢夫婦無職世帯における実収入が1ヶ月約21万円に対し、実支出が約26万円とされており、毎月約5万円の赤字が生じるという試算が示されました。これが30年続くと、赤字総額は約2000万円になるという計算です。
 
ただしこの試算は、あくまでひとつのモデルケースに基づいたものであり、すべての人が2000万円を必要とするというわけではありません。住居が持ち家か賃貸か、生活費にどれだけ差があるか、医療・介護にどれだけ備えているかなど、個々の事情で必要資金は大きく変わります。
 
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における1ヶ月あたりの消費支出と非消費支出の合計は平均で約28万7000円、年金などの実収入は約25万3000円で、月々約3万4000円の赤字という傾向が示されています。
 
これを年間で換算すると約41万円の不足、30年で約1200万円程度の備えが必要だと読み取れます。
 
つまり「2000万円」はやや余裕を見た数値ではあるものの、まったくの誇張ではなく、将来の備えとして意識しておくべき水準のひとつといえます。
 

退職金の一部を援助した父親の老後は大丈夫なのか?

例えば今回のケースのように、父親が退職金として2000万円を受け取り、そのうち800万円を子どもの住宅資金として援助した場合、残る老後資金は1200万円になります。前述の平均的なモデルで必要とされる額が1200万円~2000万円程度とされている中で、やや不足気味に見えるかもしれません。
 
ただし、生活実態によってはこの金額でも十分にやりくりできる可能性はあります。例えば、父親が持ち家に住んでいて家賃負担がない場合、生活費を年金の範囲内に収めることができるかもしれません。大きな持病もなく、日常の支出が抑えられていれば、退職金の取り崩しはごくわずかで済むケースもあります。
 
また、高齢者の支出は現役世代よりも抑えられる傾向があり、旅行や趣味を控えれば支出はさらに減少します。老後の生活を慎ましく送ることで、退職金の目減りを抑えることは十分可能と考えられます。
 

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心配なときにできることと備えるべきポイント

とはいえ、今後の医療費や介護費など、予期せぬ支出が発生するリスクもあります。とくに高齢になると入院や介護施設の利用など、まとまった出費の可能性が出てきます。そうした費用に備えるためには、いくつかの対策が有効です。
 
まず、親の収支状況をあらかじめ把握しておくことが大切です。年金収入に対して支出がどうなっているかを確認し、慢性的な赤字になっていないかを見極めましょう。仮に支出が多いようなら、固定費の見直しや生活費の調整で改善できることがあります。
 
また、医療保険や介護保険の加入状況も重要です。万一に備えて適切な保障が得られているかを確認し、不足がある場合は家族で支援体制を検討する必要があります。
 
さらに、親が高齢者施設への入居を希望する場合は、その費用や条件について事前に情報収集をしておくことも、後の安心につながります。
 

まとめ

退職金の一部を家族に援助した場合でも、生活スタイルや支出の抑え方によっては、老後資金が2000万円に満たなくても問題ないケースはあるでしょう。大切なのは金額の大小よりも、年金と支出のバランスを見ながら、必要な保障と備えができているかどうかです。
 
もし心配がある場合は、早めに家族で話し合い、必要に応じてファイナンシャルプランナーなど専門家に相談することをおすすめします。子どもとして支援を受けた立場だからこそ、親の将来に対する配慮や準備も忘れずに進めていくことが求められます。
 

出典

金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(10ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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