年金月10万円、持ち家ローンなし。それでも“生活が苦しい”と感じるのはなぜ? 老後の出費を検証

配信日: 2025.11.07
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年金月10万円、持ち家ローンなし。それでも“生活が苦しい”と感じるのはなぜ? 老後の出費を検証
「毎月の年金収入が10万円、しかも住宅ローンも完済し持ち家なら安心だろう」――そんな期待を抱いていたものの、いざ退職してみると「思ったほど余裕がない」「何かいつもお金のことで気になる」と感じている方もいるのではないでしょうか。
 
確かに、住宅ローンがなく、安定した年金があるという条件は恵まれているように見えます。ですが、それでも“生活が苦しい”と感じる背景には、年金収入だけではカバーしきれない支出や、想定外の出費、そしてライフスタイルの変化が潜んでいます。
 
本記事では、「年金月10万円」「ローンなし」というシンプルな前提であっても、なぜ支出がかさんだり、心許なく感じたりするのかをデータをもとに検証し、今後の対策を探ります。
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年金月10万円では“安心”とは言い切れない現実

まず押さえておきたいのは、年金月10万円という収入水準が必ずしも低くないように見えても、実際の生活に必要な支出を下回るケースがあるということです。
 
例えば、総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」では、65歳以上の夫婦のみ無職世帯における消費支出が月約25万7000円で、可処分所得が月約22万2000円と支出が収入を上回っているというデータがあります。
 
その背景には、住居ローンがないという前提があっても、固定資産税や修繕費、光熱費や保険料など“見えづらい固定費”がかかってくる点があると考えられます。
 
さらに、「月10万円」という数字が手取りかどうか、他の収入があるかどうかによっても実質のゆとり度合いは大きく異なります。
 

“ローンなし”でもかかる住居関連費、意外と重い支出

持ち家かつ住宅ローンなしという条件は、老後の安心感を高める要素として大きいでしょう。ですが、ローンがなくても住居関連の支出が“ゼロ”になるわけではありません。固定資産税・修繕費・リフォーム費用・維持管理費などがかかる可能性があり、特に修繕費やリフォーム費用などは年齢とともに上がる傾向があります。
 
例えば、築年数の古い家だと屋根や外壁のリフォーム、給湯器・エアコンの買い替えなどで一時的に数十万~数百万円の支出が発生するケースもあります。こうした“まとまった支出”があると、毎月の年金10万円という収入ではキャッシュフローが厳しくなる可能性があります。
 
また、老後は収入が固定化しやすいため、支出が急に変動すると対応が難しくなります。
 
このように「ローンがない」という安心感によって、逆に「住居支出を軽視」してしまうと、思わぬ出費に直面することがあります。
 

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医療・介護・趣味――“想定外”の出費が生活を圧迫する可能性も

さらにもうひとつ押さえておくべきは、老後における支出の構造が現役時代と異なるという点です。現役時代には教育費や住宅ローンなどが大きな支出である一方、老後には医療・介護費、趣味・レジャー費、家族援助などが増えてくる可能性があります。
 
例えば、健康寿命が延びる中で、「何かあれば入院・手術・通院」というリスクが高まります。公的な保障があっても、軽度の介護サービスや自費での予防活動への出費が増える傾向があります。さらに、自宅を所有していれば、バリアフリー改修・断熱・設備更新なども視野に入ることがあります。
 
また、老後だと「孫や子どもへの支援」「趣味や旅行」「地域活動参加」など、“お金を使いたい”という場面も出てくるケースがあります。収入が限られている中でこうした支出を続けると、月々の年金収入10万円という前提ではすぐに家計がひっ迫することも考えられます。
 
こうした事情を踏まえると、「生活が苦しい」と感じる原因が、年金やローンという大枠だけでなく、細部の支出構造にあることが分かります。
 

まとめ:見直しのポイントをおさえて“安心老後”の設計を

年金月10万円、持ち家でローンなし――この条件だけをもって「安心」という言葉で括るのは危ういと言えます。実際には、住居関連の見えない費用、医療・介護・趣味・家族支援などの支出増、そして年金収入そのものの不確実性が重なり、「苦しい」と感じる要因になっている可能性があります。
 
では、どう備えればよいのでしょうか。まずは現在の収入・固定費・変動費を細かく書き出し、年金収入を“実際に使える金額”として見直すことが必要です。次に、住居関連費の見込みを立てて、修繕や改修のタイミング・金額もあらかじめ準備しておくと安心です。
 
最後に、医療・介護・趣味・援助など「これから使いたい・使う可能性のある支出」についても、自分なりの優先順位を整理し、どこで節約するか、どこはリスクとして備えるかを考えることで、年金収入だけでも余裕ある生活へ近づけるでしょう。
 
「年金月10万円、ローンなし」というスタートラインは決して悪くありません。しかし、その上に「想定外の支出」「支出の先送り」「収入減少リスク」があることを理解し、今から計画的に準備を進めることが、安心して老後を過ごすための鍵となるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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