65歳以降の生活、年金だけで“月10万円”では足りない? セカンドライフの家計収支をシミュレーション

配信日: 2025.11.07
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65歳以降の生活、年金だけで“月10万円”では足りない? セカンドライフの家計収支をシミュレーション
定年退職後、65歳を過ぎたタイミングで「年金だけで月10万円程度もらえれば暮らせるのではないか」と漠然と考えている人もいるのではないでしょうか。
 
実際に公的年金を受け取る高齢者世帯の平均収入や支出を見てみると、月10万円という数字は最低ラインとも言える状態で、むしろ「ギリギリ」あるいは「足りない」と感じるケースが多いことが分かります。
 
この記事では最新の統計データをもとに、65歳以降の平均的な家計収支を整理し、年金だけで暮らすにはどれくらい準備が必要かをシミュレーションします。
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高齢無職世帯の平均収支を知る

まず、65歳以上で働いていない世帯の平均的な収支状況を確認してみましょう。
 
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみ無職世帯では、月平均実収入がおよそ25万3000円、この実収入のうち可処分所得(税金・社会保険料などを差し引いた手取りに近い額)は、およそ22万2000円となっています。
 
一方、消費支出(いわゆる生活費)は月約25万7000円となっており、支出の方が上回っている状態です。
 
また、65歳以上の単身無職世帯のデータでは、月平均実収入が約13万4000円(可処分所得約12万1000円)、消費支出が14万9000円となり、収入だけでは支出を賄えず月間で約2万8000円の赤字という結果も出ています。
 
このように、年金を主たる収入とする高齢無職世帯では、「月10万円程度では足りない」と感じる背景がこうした統計データから浮かび上がってきます。
 

年金だけで“月10万円”ではなぜ足りないのか?

では「月10万円」の収入で暮らそうとすると、どのような問題が出てくるのでしょうか? 以下の観点で整理します。
 

・収入と支出のギャップが生じやすい

年金が月10万円だとすると、年間で120万円程度になります。しかし、上記データでは単身世帯でも実収入約13万4000円/月、つまり年額約160万円前後となっています。
 
これに対し消費支出は月約14万9000円、年約180万円弱です。つまり、年金だけで月10万円だと収入(120万円)と支出(180万円前後)に大きな開きが出る可能性があります。
 
夫婦のみ無職世帯でも、実収入が月約25万3000円、さらに消費支出が月25万円以上とされているため、月10万円では明らかに不足となります。
 

・想定外の支出が発生しやすい

高齢期には医療費・介護費・住宅維持費など予期せぬ支出が増える傾向があります。統計上、消費支出から「保健医療」「住居」「光熱・水道」などの割合が一定ありますが、これらは生活の質を落とさずに確保しようとすると月10万円収入では余裕がない場合が多いと考えられます。
 
さらに、持ち家で固定費が少ないケースを除いて、住居費や固定費が大きい家庭では支出がさらに増える可能性があります。
 

・貯蓄の取り崩しや他の収入源が必要になる可能性

収入より支出が上回る構造が継続すると、貯蓄を取り崩すか、年金以外に何らかの収入源がないと家計が傾くリスクが高くなります。
 
実際、前述の統計では単身世帯で平均消費性向(可処分所得のうち消費支出に充てられる額の占める比率)が約122.9%となっており、手取りの範囲を超えて支出が行われている状況です。
 
このため、年金だけで暮らすとなると「月10万円」という数字は相当タイトなラインと捉えるべきです。
 

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セカンドライフの収支シミュレーション例

具体的に、月10万円収入でどこまで暮らせるかを簡単にシミュレーションしてみましょう。以下は単身高齢無職世帯を想定したケースです。


・年金収入:月10万円、年120万円
・非消費支出(税金・社会保険料等)を仮に月1万3000円(年約15万6000円)と想定
・可処分所得:年約104万4000円
・支出:消費支出=月14万9000円(年約178万8000円)と想定

この場合、可処分所得(104万4000円)-支出(178万8000円)=マイナス74万4000円です。つまり年間で約75万円の赤字が発生します。統計データ通りの支出水準であれば、月10万円収入だけでは明らかに不足です。
 
逆に収入を月20万円(年240万円)と仮定すれば、支出178万8000円とすると年間約45万円の余裕が出る計算になります。以上から、年金+その他収入(貯蓄取り崩し・就労収入など)を含めたプランニングが必須となります。
 

まとめ

65歳以降の暮らしにおいて、「年金だけで月10万円」を収入とした場合、統計データから見ると支出を賄うには十分とは言えないケースが多いことが確認できます。高齢無職世帯での実収入や支出の平均値から、月10万円では収支のギャップがかなり大きくなり、貯蓄取り崩しや他の収入源が必要になる可能性が高いです。
 
そのため、セカンドライフを安心して送るためには、年金見込み額の確認だけでなく、支出構造の見直し・老後の就労・資産運用・ライフスタイルの工夫など、複数の収支改善策を検討しておくことが重要です。
 
具体的には、現時点での年金見込みや今後の収入・支出のシミュレーションを早めに行い、月10万円ではなく月20万円前後あるいはそれ以上を視野に入れた「ゆとりある」家計設計を目指しましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 表2 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)及び65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支 -2024年-(19ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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