親の介護、同居している私が介助をして費用も負担しています…。疎遠になっている兄妹に請求して大丈夫でしょうか。公平に分ける方法はありますか?

配信日: 2025.11.08
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親の介護、同居している私が介助をして費用も負担しています…。疎遠になっている兄妹に請求して大丈夫でしょうか。公平に分ける方法はありますか?
親の介護が始まると、日常のリズムも家計も大きく変わります。特に同居している子どもが中心になって介助・通院・金銭的負担を担うケースでは、「自分ばかりが苦労している」「他の兄妹は何もしてくれない」といった不満が生まれがちです。
 
実際、疎遠になっている兄妹に「費用を分担してほしい」と言っていいのか、どうすれば公平になるのか、これは多くの介護家庭で直面する現実的な悩みです。
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介護費用は「法律的に」請求できるのか?

まず知っておきたいのは、民法上、親の扶養義務は子ども全員にあります(民法第877条)。
 
つまり、親の生活や介護に必要な費用を、兄弟姉妹のうち誰か一人がすべて負担し続ける義務はありません。本来は、子どもたち全員が「能力に応じて」分担すべきものです。
 
ただし、法律で決められた明確な割合があるわけではなく、収入や生活状況、介護への関与度などを総合的に考慮します。
 
もしあなたが親と同居し、日々の介助や通院の付き添いまで行っているなら、単に金銭面だけでなく「労務提供」という大きな貢献をしていることになります。

 

請求の現実 話し合いでの合意が第一歩

株式会社Speeeのアンケート調査によると、親の介護を理由に親族と揉めたことがあると回答した人の割合は約4割でした。しかし、理論上は「請求できる」とはいえ、いきなり金銭を求めると、関係がさらに悪化する可能性もあります。
 
まずは、冷静に現状を共有することが大切です。
 

・介護にかかっている費用(食費、オムツ代、医療費、交通費など)
・あなたの介護時間・負担状況
・親の年金や貯金で賄えている部分、足りない部分

 
これらを具体的に示したうえで、「このままでは続けられない」「公平に分担したい」という形で話し合いの場を持つとよいでしょう。
 
もし直接の話し合いが難しい場合は、地域包括支援センターや家庭裁判所の調停を利用する方法もあります。家庭裁判所の「扶養義務調停」では、兄妹の収入や生活状況を考慮して、妥当な分担額を調整してもらうことができます。

 

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「公平さ」をどう考えるか? お金だけでは測れない介護

介護の「公平」は、単に金銭を半分ずつ負担することではありません。
 
たとえば、兄は遠方で働いていて頻繁に通えないが、毎月3万円を仕送りする。一方、あなたは日々の介助をし、自由な時間を削っている──この場合、単純に数字では比較できません。
 
公平とは、金銭負担と労務負担の総合的なバランスで考えるもの。親の介護を一手に引き受けているあなたの労力も「目に見えない費用」として、正当に評価されるべきです。

 

トラブルを防ぐためのポイント

1.領収書や費用の記録を残す
誰がどの費用を負担しているかを明確に。後から「そんなにかかっていたの?」と誤解を避けられます。
 
2.第三者を交えて話す
感情的になりやすい家族間の話し合いは、ケアマネジャーや包括支援センターの職員を交えるとスムーズです。
 
3.「遺産分割」に影響する可能性も理解する
介護を担った人は、将来の相続で「特別寄与料」として貢献が評価される場合があります(民法改正により2019年から適用)。つまり、今すぐに兄妹からお金をもらえなくても、のちの遺産分割で調整できる可能性があります。

 

一人で抱え込まず、制度と話し合いを活用して

親の介護は、誰にとっても避けられない現実です。
 
しかし「介護=同居している人の責任」ではありません。兄妹全員に負担義務があり、あなたがすべてを背負う必要はないのです。
 
話し合いで難しい場合は、公的な支援制度や調停制度を使うことが「責める」のではなく、公平にするための手段」です。感情的な対立を避け、冷静に「介護の現状を共有し、みんなで支える体制」を築くことが、家族の絆を保つ第一歩となります。

 

出典

e-Gov法令検索 民法
株式会社Speee 親の介護に関するトラブルなどのアンケート
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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