65歳を迎えて年金生活に入ります。65歳以上の医療費や貯蓄額、生活費の平均ってどれくらいですか?年齢別の平均値も知りたいです。
本記事では、最新の公的データをもとに、65歳以上の医療費・生活費・貯蓄額の平均、さらに年齢別の変化について分かりやすく解説します。
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65歳以上の医療費はどれくらいかかるのか
高齢になるほど医療機関を利用する機会は増えます。厚生労働省によると、65歳以上の1人あたり年間医療費は約67万円。これは全年齢平均(約16万円)の約4倍です。
ただし、この金額のすべてを自己負担するわけではありません。高齢者医療制度により、自己負担割合は原則1割(所得によって2割または3割)となっており、実際に支払う金額は平均で年間10~20万円前後とされています。
さらに「高額療養費制度」があるため、医療費が一定の上限を超えた場合には払い戻しを受けられます。したがって、突然の入院や手術があっても、適切に制度を活用すれば過度な負担にはなりません。
年金生活の生活費の平均は?
次に、気になる日々の生活費です。総務省の「家計調査(2024年)」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月約26万円。その内訳は以下のとおりです。
●食費 約7万円
●光熱・水道費 約2万円
●交通・通信費 約2万円
●保健医療費 約1.5万円
●娯楽・交際費 約3万円
●その他日常費 約10万円
一方、年金などの実収入は月23万円程度とされており、毎月約3万円の赤字が発生しているというデータもあります。つまり、貯蓄や退職金を上手に取り崩しながら暮らすことが一般的なのです。
65歳以上の貯蓄額の平均と中央値
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、60代の単身世帯の平均貯金額は1468万円、二人以上世帯は2026万円でした。
ただし、この数値には一部の高額資産世帯も含まれるため、より実態に近い「中央値」で見ると単身世帯で210万円、二人以上世帯で700万円となります。特に90歳以上まで長生きする可能性も高まる現代では、「老後30年時代」を見据え、計画的な資産運用と支出の見直しが重要です。
年齢別の支出・貯蓄バランスの変化
年齢が上がるとともに、生活費の内訳も変化します。65~69歳では旅行や趣味への支出が多く「アクティブシニア期」と呼ばれますが、75歳を超えると医療・介護関連費の比重が増加します。
また、資産の使い方も「貯める」から「生かす」へとシフトします。定期預金などの安全資産だけでなく、年金受給を補うための少額投資(つみたてNISA・iDeCo)を活用する高齢者も増えています。
安心して年金生活を送るために
65歳を迎えた今こそ、自分の生活スタイルと支出を見直す絶好のタイミングです。平均値を参考にしながらも、重要なのは「自分に合った生活設計」を立てること。医療費は制度を賢く利用し、生活費は無理のない支出管理を心がけ、貯蓄は「長生きリスク」に備えて計画的に使うことがポイントです。
これからの人生をより豊かに過ごすために、「健康」「安心」「ゆとり」の3つをキーワードに、老後資金のバランスを整えていきましょう。
出典
厚生労働省 性、年齢階級別国民医療費
総務省 家計調査報告(家計収支編)
金融広報中央委員会 令和5年(2023年) 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]
金融広報中央委員会 令和5年(2023年) 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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