80歳の母が要介護認定を受けました。父はすでに介護施設に入っています。母も施設に入れるか、自宅で介護するか… どちらが費用を抑えられるでしょうか。

配信日: 2025.11.12
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80歳の母が要介護認定を受けました。父はすでに介護施設に入っています。母も施設に入れるか、自宅で介護するか… どちらが費用を抑えられるでしょうか。
80歳のお母さまが要介護認定を受け、お父さまはすでに施設に入居中……。
 
このような状況で悩ましいのが「お母さまも施設に入るべきか」「自宅で介護を続けるべきか」という判断でしょう。自宅介護は一見安く済みそうですが、実際には見えない費用や負担が生じます。施設介護は月々の支出が大きい一方で、家族の時間的・精神的負担を軽減し、長期的に安定した支出に収まる場合もあります。
 
本記事では、生活者の視点を保ちながら制度と費用を整理し、どちらがより現実的に費用を抑えられるかを考えます。
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自宅介護にかかる費用構造を把握する

自宅介護の費用は、介護保険サービス利用料の自己負担が中心です。利用内容や要介護度により異なりますが、自己負担は原則1割で、所得に応じて2~3割になる場合があります。要介護度が高くなるほど、支出は増える傾向にあります。
 
また、自宅介護には住宅改修や福祉用具の購入などの初期費用が発生します。手すりの設置や段差の解消には、数十万円かかることもあります。さらに、介護担う家族の時間的拘束や生活の変化も無視できません。
 
結果として、自宅介護は「サービス利用料+初期費用+家族の負担」を合わせたトータルコストとして考える必要があります。
 

施設介護にかかる費用

施設介護では、毎月の費用が明確です。介護サービス費の自己負担に加え、居住費・食費・日常生活費が必要となります。
 
例えば、厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索」によると、要介護5の人が介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)を利用した場合の自己負担額の目安は、多床室で約10万6930円、ユニット型個室で約14万3980円です。
 
ただし、このほかに、日常生活費には含まれない衣類の購入費や医療費、理美容費などの実費が別途かかります。
 
参考までに、生命保険文化センターの「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、公的介護保険サービスの自己負担費用を含む介護費用の平均は月9万円で、介護場所別では施設が13万8000円、在宅が5万3000円となっています。
 
これらの結果から、施設介護での毎月の支出は15万円程度が目安と考えてよいでしょう。ただし、入居施設や購入・利用する物などによって個人差があります。特に医療費は、健康状態や受診頻度によって大きく異なり、月ごとの支出差が生じやすい項目です。
 
一方、民間施設では入居一時金が発生する場合もあり、数十万~数百万円、施設によっては数千万円に及ぶことがあります。ただし、費用が高い分、24時間体制や医療的ケアが整い、家族の安心感が得られる点が大きなメリットです。
 

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どちらが費用を抑えられるのか

一般的に、自宅介護のほうが現金支出は少なく、施設介護のほうが高くなります。前述の生命保険文化センターの調査では、介護費用の平均が自宅は約5万円、施設は約14万円なので、この結果からは年間で約100万円の差が生じることになります。
 
しかし、自宅介護では介護者の通院付き添い、見守りのための時間的拘束や収入減、体力的負担といった「隠れたコスト」が発生します。介護期間が長期化すれば、結果的に家計への影響が大きくなる場合もあります。
 
一方、施設介護は支出が多くなりがちですが、家族が働き続けやすく、医療面も安定したケアが受けられます。要介護度が高い場合や長期介護が見込まれる場合には、むしろ施設のほうがトータル費用を抑えられるケースもあります。
 

公的支援を活用して負担を減らす

介護費用を抑えるには、公的支援制度を上手に活用することが重要です。
 
施設利用では「負担限度額認定制度」を利用することで、食費や居住費の自己負担を軽減できます。自宅介護においても「住宅改修費助成」や「福祉用具購入補助」があり、負担を抑えられます。
 
また、ケアマネジャーに相談し、必要なサービスを過不足なく利用することで、無駄のない支出に抑えることができます。
 

費用だけでなく「介護を続けられるか」も考慮しよう

お母さまの介護を自宅で続けるか、施設に任せるかを考える際は、単純な金額差だけでなく「無理なく続けられるか」が重要です。自宅介護は出費が少ない場合が多いですが、家族の負担が大きくなりがちです。施設介護は費用が高めでも、家族が安心して生活できる環境を得られます。
 
どちらを選ぶにしても、公的制度の活用と計画的なケアプランの作成により負担を軽減することができます。お母さまの要介護度や家族の体力、将来の見通しを踏まえ、お金と暮らしの両面から最適な選択を検討しましょう。
 

出典

厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 サービスにかかる利用料
公益財団法人生命保険文化センター 2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査
世田谷区 負担限度額認定証
江東区 介護保険住宅改修費の支給
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 どんなサービスがあるの? -特定福祉用具販売
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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