「月15万円」の年金だけで夫婦2人の生活は難しいように感じる…。実際に“年金だけ”で生活できている世帯の割合はどのくらい?
しかしこの夫婦は、年金のみの収入では心もとないと感じています。年金制度や老後の生活の課題についてはしばしば報道されることが多く、同じように不安を覚えている人は多いかもしれません。
そこで本記事では、年金のみで生活できる世帯がどれくらい存在するのかを解説します。
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年金のみで生活できる世帯の割合は?
はじめに、年金が総所得に対して占める割合を見ていきましょう。年金が総所得に対して占める割合が高ければ高いほど、年金への依存度が高いことになります。
年金・恩給のみが所得の世帯は43.4%
厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、「公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合」は表1の通りです。恩給は、公務による傷病で退職、死亡した官公吏などに国家が支払う金銭を指します。
表1
| 公的年金・恩給の総所得に占める割合 | 全体に対する割合(%) |
|---|---|
| 100%の世帯 | 43.4% |
| 80~100%未満の世帯 | 16.4% |
| 60~80%未満の世帯 | 15.2% |
| 40~60%未満の世帯 | 12.9% |
| 20~40%未満の世帯 | 8.2% |
| 20%未満の世帯 | 4.0% |
出典:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を基に筆者作成
表1にあるように、公的年金・恩給の総所得を占める割合が100%である世帯は43.4%もいることが分かりました。10世帯中4世帯以上は、年金や恩給に大きく依存しているといえるでしょう。
ただしこれらの世帯が「年金のみで生活している」とは断言できません。表1の数値は年金と総所得の比率を示しているのみであり、貯蓄などを考慮していないため、年金と貯蓄を合わせて生活している世帯も想定されます。
100%でなくても年金に依存する世帯は多い
表1の結果によると、公的年金・恩給の総所得に占める割合が「100%の世帯」「80~100%未満の世帯」「60~80%未満の世帯」のみで、全体の75%が占められています。
日本における高齢者世帯の多くが、全額でないにしろ、老後資金として年金に頼る必要があるようです。
年金15万円での生活は可能?
総務省統計局が公表している「2024年(令和6年) 家計の概要」によると、65歳以上の無職夫婦世帯の実収入および支出は、以下の通りです。
・実収入:25万2818円
・非消費支出:3万356円
・消費支出:25万6521円
支出は合計で約28万7000円です。
今回のケースでは月15万円の年金収入であるため、年金のみを支出にあてる場合は、約13万7000円のマイナスが発生してしまいます。
ただし平均支出は全世帯にあてはまるわけではなく、もっと支出が低いケースもあります。そのため年金のみで生活できるかどうかは、こちらの夫婦の支出スタイルによるといえるでしょう。
とはいえ、毎月の支出を平均支出よりも約13万7000円おさえることは、簡単ではないかもしれません。マイナスが発生するおそれがあり、その場合は貯蓄でカバーしなければならないでしょう。
年金に大きく依存している世帯は非常に多い
総所得に対して年金・恩給の占める割合が100%の世帯は、43.4%も存在します。また割合が過半数を占める世帯も多いことから、老後の生活資金として年金が重要なファクターになっていることがうかがえます。
今回のケースでは月15万円の年金収入がありますが、平均支出と比較すると、収支バランスがマイナスになる可能性は高いです。現在の貯蓄状況や退職金の有無などにもよりますが、年金収入とは別の資金があると心強いでしょう。
出典
厚生労働省 2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況 4 所得の種類別の状況 図 11 公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合
11ページ
総務省統計局 2024年(令和6年) 家計の概要 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年- 18ページ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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