定年後にパートを始めましたが「時給950円」では家計が苦しいです。老後もこんなに働き続けるしかないのでしょうか?

配信日: 2025.11.14
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定年後にパートを始めましたが「時給950円」では家計が苦しいです。老後もこんなに働き続けるしかないのでしょうか?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、60歳代で、金融資産を保有していない(非保有)と回答している方が全体の21.0%、1000万円以上の保有者が約42.2%、3000万円以上の保有者が約20.5%となっています。
 
つまり、半数近くが1000万円以上の金融資産を有している一方で、5人に1人が金融資産を有していないという構図です。同じく、富裕層ともいえる3000万円以上の方も5人に1人の割合となっています。
 
本記事では、このように少し格差が生じている老後資金の現状について考えていきます。
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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都道府県別の最低賃金

2025年度の地域別最低賃金(都道府県別)が発表され、全ての都道府県で1000円を超えることになりました。全国平均では、1121円となっており、昨年度から66円の引き上げ(上昇率+6.3%)が実施され、過去最大の引き上げ額となっています(図表1)。
 
図表1

図表1

厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」より筆者作成
 
これらの引き上げは、異議申し立て手続きなどを経て、2025年10月1日から2026年3月までの間に、都道府県ごとに順次発効されます。
 
相談者の「時給950円」は、いずれの都道府県でも最低賃金を下回る状況となるため、違法となります。原則は、最低賃金との差額分の支給を受けることができます。
 
まずは、勤務先の会社に相談し、時給改善の申し出をしましょう。それでもどうしても改善されない場合には、管轄する労働基準監督署に相談することも考えられます。
 

自宅など不動産を有している場合

老後の生活資金を捻出する方法の一つに、「自宅などの不動産を活用する」方法があります。ただし、一長一短がありますので、そのことを十分に理解のうえ、検討しましょう。
 

(1)売却する

自宅不動産を売却することで、一定の資金を得られる場合があり、これを老後の生活資金の充てる方法です。当然、売却後の生活拠点を確保できることが条件となりますが、高齢者が十分な収入がない場合には家を賃貸することが困難となる場合もあることを考慮しておく必要があります。
 

(2)リースバックを活用する

自宅を第三者に売却することで資金を得たうえで、自らが賃貸契約をして住み続ける方法です。何といっても住み慣れた家に住み続けることができること、新居を新たに探す必要がないことがメリットです。
 

(3)リバースモーゲージを活用する

自宅を担保として資金を借り入れすることで、そのまま自宅に住み続ける方法です。そして、ご自身が死亡した際に、担保の不動産を処分し、借入金を返済(精算)することになります。
 
以上の方法は、いずれかの時点で自宅の所有権を他人に移すことが前提です。将来的に自宅不動産を子や孫などに相続させたいとお考えであれば、お勧めはできません。
 

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公的な支援制度を利用する

どうしても老後資金が不足し、家計が厳しい場合に一定の条件で利用できる公的支援制度があります。主なものは、以下の通りです。
 

(1)年金生活者支援給付金制度

年金収入や所得が一定の水準を下回る受給者に対し、公的年金の受給額を上乗せする制度です。
 

(2)生活福祉資金貸付制度

都道府県の社会福祉協議会が、生活に困窮している低所得者や高齢者、障害者などに対して資金の貸し付けや生活支援の相談を行う制度です。
 

(3)生活保護制度

生活保護は、世帯の収入や資産を合算しても、国が定める最低限度の生活水準を維持できない場合に、国や地方自治体が生活費の補助や必要とされる生活支援を行う制度です。
 
それぞれの対象者、支給額、受付先などの詳細は、ホームページ等でご確認ください。
 

まとめ

人生100年といわれる今、「働ける間は働くべし」との姿勢が正解なのかもしれません。その条件は、ご自身が健康であること、働ける仕事が与えられていることなどが挙げられます。
 
また、現状をしっかりと把握することも重要です。会社員等で十分に収入が得られていた現役時代の生活水準と引退後の生活水準は、当然違ってしかるべきです。
 
少し厳しいようですが、生活レベルを下げることを認めない方やためらう方もいらっしゃると思われます。現状での収入(年金等)や支出(生活費、医療費、住居費など)を正確に現状把握することから始めてみましょう。
 

出典

金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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