両親は2人で年金「月20万円」、貯金も「500万円」あるのに、毎月の生活が厳しいからと仕送りを頼まれました…私も毎月カツカツなのですが、子どもとしてサポートすべきですか?

配信日: 2025.11.20
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両親は2人で年金「月20万円」、貯金も「500万円」あるのに、毎月の生活が厳しいからと仕送りを頼まれました…私も毎月カツカツなのですが、子どもとしてサポートすべきですか?
両親から「年金だけでは月々の生活が苦しいから、仕送りをお願いしたい」という相談を受けたとき、戸惑いを感じる方もいるかもしれません。
 
今回のケースでは、両親は2人で毎月20万円程度の年金を受け取り、貯金も500万円ほどあるという状況です。しかし、自身も月々のやりくりに余裕があるわけではなく、「子どもとして手を差し伸べるべき?」という悩みを抱えるのも当然のことでしょう。
 
この記事では、まず「65歳以上の夫婦無職世帯」の最新の家計収支データをもとに現実的な生活費を確認し、そのうえで「仕送りをする/しない」の判断材料を整理し、最後に無理なく支えるための考え方をご紹介します。
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まずは日本の平均と比べてみる:“年金・貯蓄”の状況

総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、1ヶ月の実収入は約25万3000円で、そのうち約22万5000円が年金などの社会保障給付です。
 
一方で、月の支出合計は約28万7000円です。生活に関わる消費支出だけでも25万6000円程度に上り、1ヶ月におよそ3万4000円の赤字が出ているというのが実情です。こうした不足分は、多くの場合、貯蓄を取り崩すことで補われています。
 
また、同じく総務省統計局の「家計調査報告[貯蓄・負債編]2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によれば、世帯主が65歳以上の世帯における平均貯蓄現在高は2509万円、より実態に近いとされる中央値でも1658万円であり、家計の赤字を長期的に補える水準にある世帯が多いことが分かります。
 
それに対して、今回の事例における両親の状況はどうでしょうか。年金は2人合わせて月20万円で、貯金は500万円です。
 
年金収入は平均を2万5000円ほど下回っており、支出の傾向が平均的であるとすれば、毎月の赤字は5万円前後に拡大している可能性もあります。貯金額も平均の5分の1ほどですので、赤字の補填を長期的に続けるのは難しいかもしれません。
 
もちろん、実際の生活費は地域や持ち家の有無、健康状態、ライフスタイルなどによって変わります。しかし、客観的な統計と照らし合わせると、両親の「生活が苦しい」という訴えには一定の根拠があるといえるでしょう。
 

仕送りする/しないを考えるための3つの視点

まず重要なのは、両親の家計状況が一時的なものか、恒常的な赤字かを把握することです。
 
仮に支出を見直せば改善できる余地がある場合、まずは家計の棚卸しを両親と一緒に行うことが有効です。毎月どれだけ使っているのか、何にお金がかかっているのかを把握するだけで、意外と節約できる項目が見えてくることもあります。
 
次に考えるべきは、自身の経済状況です。収入に対して生活費・住宅ローン・教育費・老後資金などを賄うなかで、仕送りに回せる余裕があるかを確認しなければなりません。無理な援助は、自身の家計を圧迫し、将来的には親の生活どころか、自分の生活も守れなくなってしまう恐れがあります。
 
最後に、支援を行う場合はその方法を明確にしておくことが大切です。例えば、毎月決まった額を仕送りするのか、それとも急な出費時のみ支援するのかなどです。
 
可能であれば、援助の期間や上限、終わりのタイミングも話し合っておきましょう。親子とはいえ、お金に関する認識にズレがあると後々トラブルになりやすいためです。
 

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無理のない支援方法を考える

支援を行うと決めた場合でも、「無理なく続けられる範囲」であることが大前提です。毎月の定額仕送りにこだわらず、例えば誕生日やお盆、年末年始などの節目に臨時的な援助をするだけでも、両親の心理的・経済的な負担を和らげる効果があります。
 
また、現金での仕送り以外にも、食品や日用品の提供、病院の送迎など、「お金以外のサポート」を工夫することで負担を減らせるかもしれません。
 
もうひとつの選択肢として、社会制度や地域の支援を活用する方法もあります。例えば、介護保険や高額療養費制度、シルバーパス、各自治体の高齢者支援サービスなどを利用すれば、家計の負担を軽減できる場合があります。
 
仕送りだけに頼らず、外部の仕組みも上手に活用していくことが、両親にも自分自身にも無理のない支え合いにつながるでしょう。
 

まとめ

両親に仕送りを頼まれたとき、まずは「本当に生活が苦しいのか」を冷静に見極めることが大切です。65歳以上世帯の平均と比べても、月20万円の年金と500万円の貯金では、長期的に家計を維持するのが難しい状況にあるかもしれません。
 
ただし、自身も生活に余裕がないなら、まずは無理のない支援の方法を考えることが重要です。支援を行う際は、支援額・期間・方法を明確にし、親子間であらかじめ話し合っておくことで、トラブルを防ぎながら、心地よい支え合いの関係を築くことができるでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
総務省統計局 家計調査報告[貯蓄・負債編]2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯) III 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況 5 世帯主が65歳以上の世帯 図III-5-1 世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布 (二人以上の世帯)-2024年-(22ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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