独身のまま50代を迎えました。現在の貯金は800万円ほどです。一人暮らしの人はどのくらい貯蓄があれば、老後が安心なのでしょうか?

配信日: 2025.11.30
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独身のまま50代を迎えました。現在の貯金は800万円ほどです。一人暮らしの人はどのくらい貯蓄があれば、老後が安心なのでしょうか?
安心して老後を過ごすためには、年金生活を始めるまでに十分な老後資金を準備することが大切です。今回は、年金生活を始めるまでに準備すべき資金の見積もり方について解説します。
辻章嗣

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
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老後の必要資金の考え方

老後のために準備すべき資金は、老齢年金の見込み額と老後の年間支出額との差額に平均余命を掛けて求めることができます。
 
準備すべき老後資金の額=(老齢年金の見込み額-老後の年間支出額)×平均余命
 

老齢年金の見込み額を確認する

 

1. 自営業者の老齢年金

自営業者など国民年金の第1号被保険者であった方の場合、公的な老齢年金は老齢基礎年金のみとなります。老齢基礎年金の額は、20歳から60歳までの40年間に保険料を納付した月数により決まり、保険料を40年間全額納付した場合の老齢基礎年金は満額の83万1700円(令和7年度額)となります(※1)。
 
老齢基礎年金額=83万1700円(令和7年度額)×保険料納付済月数/480月
 
満額の老齢基礎年金を受給した場合でも、月額6万9300円ほどにしかなりません。
 

2. 会社員などの老齢年金

会社員であった方は、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金を受給することができます。老齢厚生年金の額は、平均年収と勤続年数から下式により概算することができます(※2)。
 
老齢厚生年金額=平均年収×5.481/1000×勤務年数
 
例えば、20歳から65歳までの45年間、会社員として勤務し、平均年収が500万円であった場合の老齢厚生年金額は、123万3225円となります。
 
老齢厚生年金額=500万円×5.481/1000×45年=123万3225円
 
したがって、満額の老齢基礎年金と合わせると206万4925円となり、月額にすると17万2000円ほどになります。
 

3. 自分自身の老齢年金見込み額を知る方法

自分自身の老齢年金の見込み額は、毎年誕生月に配送される「ねんきん定期便」や近くの年金事務所で確認することができます。なお、老齢年金の手取り額は、税金と社会保険料が差し引かれますので、年金見込み額の8~9割と考えるとよいでしょう。
 

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老後の必要経費を見積もる

現在の家計支出から、老後に必要となる生活費などを見積もりましょう。まず、基本生活費など毎月の支出額と固定資産税など年単位で支出する額を見積もります。そして、下の式から年間支出額を算出しましょう。
 
年間支出額=毎月の支出額×12ヶ月+年単位の支出額
 
なお、総務省の家計調査(令和7年度)(※3)によると65歳以上の独身世帯が必要とする平均的な消費支出は、月額で約15万5000円となっており、年額で186万円になります。
 

老後資金の必要資金を見積もる

65歳以降を老後生活として、65歳の時点で準備しておくべき老後の必要資金を見積もります。なお、65歳の日本人男性の平均余命は19.47年、女性は24.38年となっています(※4)。
 
準備すべき老後資金の額=(老後の年間支出額-老齢年金の見込み額)×平均余命
 

1. 自営業者の場合の必要資金

自営業者の老齢基礎年金は、満額で83万1700円(令和7年度額)、単身世帯の支出額が186万円であるとすると、不足額は約103万円になります。
 
したがって、これに平均余命を掛けると男性で2005万円ほど、女性で2511万円ほどとなります。


男性:103万円×19.47年≒2005万円
女性:103万円×24.38年≒2511万円

2. 会社員の場合の必要資金

会社員の老齢年金は、老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金が支給されます。平均年収が500万円、20歳から65歳まで45年間勤務した人の老齢年金額は、前述のとおり206万4925円となります。
 
ここから、単身者の平均支出額186万円を差し引いてもマイナスとはなりません。生活費については年金収入の範囲でまかなえる可能性が高く、赤字にはなりにくいと考えられます。
 

まとめ

老後に必要となる資金を見積もるためには、老齢年金額と老後の支出額を見積もることが必要となります。
 
家計調査の統計値から、65歳以上の単身世帯の年間支出額が186万円であったとすると、自営業者など老齢基礎年金のみを受給する場合は、男性で2005万円ほど、女性で2511万円ほどの老後資金を準備する必要があります。
 
老後に必要なお金の目安を知ることで、将来への不安はぐっと軽くなります。今からできる準備を少しずつ始めていきましょう。
 

出典

(※1)日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※2)日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※3)総務省 家計調査 家計収支編 単身世帯 2024年 第2表 男女・年齢階級別
(※4)厚生労働省 令和6年簡易生命表の概況
 
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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