結局「マイホーム」を持たないまま定年を迎えました。定年後は「賃貸住宅」を借りにくい? 「都営住宅」や「UR賃貸住宅」なら大丈夫ですよね!?
今回は高齢者が賃貸住宅を借りる際の課題を紹介し、おすすめの住宅として「都営住宅」「UR賃貸住宅」についても解説します。
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定年後は「賃貸住宅」を借りにくい?
では実際に、公的なデータをもとに状況を確認してみましょう。2016年のデータになりますが、国土交通省の資料「第1回家賃債務保証の情報提供等に関する検討会」を参照します。
「住宅確保要配慮者の入居に対する大家の意識」における高齢者の入居について、以下の結果が出ています。
従前より拒否感が強くなっている:5パーセント
従前と変わらず拒否感が強い:11パーセント
拒否感はあるものの従前より弱くなっている:44パーセント
約6割の大家が、高齢者の入居に対して何らかの懸念を抱いているといえそうです。同資料では「入居制限の有無」についての調査結果も公表しています。主な回答は以下のとおりです。
単身の高齢者(60歳以上)は不可:11.9パーセント
高齢者のみの世帯は不可:8.9パーセント
生計中心者が離職者の世帯は不可:8.7パーセント
入居制限を設ける理由としては、「家賃の支払いに対する不安」が57.3パーセントを占める結果となりました。
実際に、年代別の審査状況を見ると、民間会社の家賃債務保証の審査については高齢であるほど通りにくい傾向がみられるようです。
以上から「高齢者は賃貸住宅を借りにくい」という話も、間違いではないのかもしれません。
定年後の高齢者世帯が「賃貸住宅」を借りにくい3つの理由
高齢者世帯が賃貸住宅を借りにくい理由としては、主に以下の3点が挙げられます。
理由1:経済面に不安がある
定年を迎えた高齢者世帯の場合、収入が年金しかない状況も考えられます。この点から「支払い能力が低い」とみなされ、入居に際しての審査基準を満たさないケースもあるようです。
理由2:連帯保証人を立てにくい
一般的に、賃貸住宅を契約する際には連帯保証人を立てます。しかし契約者が高齢者である場合、「近親者がすでに亡くなっている」などの理由から、依頼先を決めるのが難しい可能性もあります。
理由3:事故・認知症・孤独死のリスクがある
「心身の不調から事故・孤独死が発生するのではないか」など、大家側にも高齢者の入居に対するネガティブな印象があるようです。こうしたトラブル防止の観点も、入居への拒否感につながっている可能性があります。
「都営住宅」や「UR賃貸住宅」なら大丈夫?
民間の賃貸物件を借りられずお悩みの方に「都営住宅」や「UR賃貸住宅」という選択肢があります。
例えば「都営住宅」の場合は、高齢者に配慮した設備を設置した「シルバーピア(高齢者集合住宅)」が存在します。こちらは、所得要件などを満たしたうえで、東京都内に継続して3年以上居住している65歳以上であれば申し込みが可能です。単身向け・二人世帯向けのシルバーピアがあります。
「UR賃貸住宅」は、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が管理・提供する公的な賃貸住宅です。礼金・仲介手数料・更新料・保証人不要などの特徴があり、さまざまな高齢者向け賃貸住宅を供給・管理しています。
特に「高齢者向け優良賃貸住宅」や「高齢者等向け特別設備改善住宅」などは、高齢者も安心して生活できる賃貸住宅だといえそうです。
一定以下の所得の方に対して家賃負担を軽減する措置もあり、定年とともに収入が低下した方にとっても検討しやすい選択肢ではないでしょうか。
まとめ
「定年後に賃貸住宅を借りにくい」という傾向は、公的なデータなどからも一定の根拠があるといえるでしょう。一方、今回紹介した都営住宅・UR賃貸住宅など、高齢者に向けた賃貸住宅も存在します。さまざまな可能性を視野に、老後の住まいを探してみましょう。
出典
国土交通省 第1回家賃債務保証の情報提供等に関する検討会 (資料4‐1)家賃債務保証の現状について(2ページ、3ページ)
東京都住宅政策本部 都営住宅の入居資格(単身者向シルバーピア)
東京都住宅政策本部 都営住宅の入居資格(二人世帯向シルバーピア)
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)高齢者向け賃貸住宅
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
