「夫婦で年金400万円」でも生活レベルを下げないと「老後破綻」に!年金に頼らない「第3の収入源」の確保は必須⁉
老後の生活を安定させるためには、公的年金に加えて、年金以外の収入源、いわゆる「第3の収入源」をどう確保するかが重要になります。
本記事では、統計データをもとに老後家計の実態を確認したうえで、NISAやiDeCoといった制度を活用した資産形成の考え方を解説します。
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夫婦高齢者世帯の家計収支から見える現実
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、1ヶ月の実収入は平均25万2818円となっています。その大半は公的年金を含む社会保障給付で、年間に換算すると300万円程度です。
一方、消費支出は月平均25万6521円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万356円となり、1ヶ月あたり約3万4000円の赤字が生じています。つまり、年金収入だけでは毎月の支出を賄いきれず、貯蓄の取り崩しが前提となる家計構造であることが示されています。
厚生年金の受給額が比較的多く、夫婦合計で年金収入が400万円前後ある場合でも、現役時代の支出水準を維持すれば家計に余裕があるとは言い切れません。医療費や住居の修繕費など、突発的な支出が重なれば、老後資金への不安はさらに高まります。
年金に加える「第3の収入源」という考え方
こうした状況を踏まえると、公的年金だけに依存せず、年金を補完する収入源を用意しておくことが現実的な選択肢となります。その代表例が、税制優遇を受けながら資産形成を行う仕組みです。
老後期における第3の収入源は、必ずしも「働いて稼ぐ」ことに限られません。若いうちから準備した金融資産を、必要なタイミングで取り崩すことも、実質的な収入源と位置づけることができるでしょう。
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NISAで資産の取り崩し余地をつくる
NISA(少額投資非課税制度)は、一定の制限のもと、NISA口座で投資した金融商品の運用益が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などの金融商品の利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座で運用すればその税負担を抑えることができます。
NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用することで、年間360万円まで非課税で投資することができ、長期的に資産を育てることが可能な仕組みとなっています。
運用した資産は必要なときに売却できるため、老後の生活費や医療費などに柔軟に充てられる点が特徴です。年金収入に不足が生じた場合に、NISAで形成した資産を取り崩すことで、生活水準を維持する選択肢が生まれるでしょう。
iDeCoで年金を補完する仕組み
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自ら掛金を拠出して運用し、老後資金を積み立てる制度です。最大の特徴は、掛金が全額所得控除の対象となり、現役時代の所得税・住民税を軽減できる点にあります。
また、運用中の利益も非課税で再投資でき、受取時には受け取り方法に応じて「公的年金等控除」または「退職所得控除」などの適用が受けられます。老後に年金として受け取ることで、公的年金を補完する役割を果たします。
ただし、原則として60歳まで引き出せないため、流動性の低さには注意が必要です。その分、「老後資金を確保する仕組み」として位置づけることができます。
NISAとiDeCoを組み合わせる意義
NISAとiDeCoにはそれぞれ異なる特徴があり、単独だけでなく併用することで税制上のメリットをより広く享受できる場合があります。例えば、iDeCoで所得税・住民税の負担を軽減しながら長期的な年金的収入を形成し、NISAで資産の流動性を確保する、といった使い分けが考えられます。
どちらの制度も投資リスクを伴いますが、税負担の軽減を通じて手元に残る資金を増やす効果が期待できます。自分の年齢や収入、生活設計に合わせてバランスを検討することが重要です。
まとめ
総務省統計局の家計調査からは、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、年金収入だけでは毎月の支出を賄いきれないケースがあることが読み取れます。たとえ夫婦で年金収入が400万円あっても、生活水準を維持するには工夫が必要と考えられます。
そのため、公的年金に加えて、「第3の収入源」として資産形成を行うことは、老後破綻を防ぐひとつの考え方といえるでしょう。NISAやiDeCoは、それぞれ異なる特徴を持つ制度であり、目的に応じて使い分けることが重要です。
制度を正しく理解し、自身のライフプランに合った形で備えることが、老後の安心につながるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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