妻が若年性認知症に! 定年まであと10年、貯金がまったくありません。認知症の介護にはどのくらい費用がかかりますか?

配信日: 2026.01.10
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妻が若年性認知症に! 定年まであと10年、貯金がまったくありません。認知症の介護にはどのくらい費用がかかりますか?
予想さえしなかった、配偶者の罹患(りかん)…… 共働き世帯が過半数を占めるようになった昨今、働き盛りにそのようなことが起こったら、将来が不安になるでしょう。
 
今回は、配偶者が認知症になり、介護が必要になったらいくらくらい費用がかかるのか、目安となる金額を見ていきます。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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突然の若年性認知症で、お金の不安が一気に現実になる

今回のような相談は、決して珍しいものではありません。共働き世帯が一般的となった今、働き盛りの配偶者が病気や障害を負うことは、家計に大きな影響を与えます。
 
特に認知症は、完治が難しく、長期間にわたって介護が必要になる可能性が高い疾患です。将来の生活費と介護費用をどう両立させるのか、まずは「どれくらいお金がかかるのか」を冷静に把握することが重要です。
 

若年性認知症でも介護保険は利用可能

認知症の介護費用を考える際、まず理解しておきたいことが公的介護保険制度です。原則として介護保険は65歳以上が対象ですが、若年性認知症は「特定疾病」に該当するため、40~64歳でも介護保険サービスの利用が可能です。
 
要介護認定を受けることで、訪問介護やデイサービス、施設入所などを原則1割(所得によっては2~3割)負担で利用できます。つまり、介護にかかる費用の多くは、全額自己負担ではありません。
 

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在宅介護・施設介護の費用目安

では、実際にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
 
生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査[2人以上世帯]」によると、介護にかかる平均的な自己負担額は、一時的費用が47万2000円、在宅で月5万3000円とされています。
 
在宅介護の場合、介護保険サービスの自己負担は月1~3万円程度に抑えられることもありますが、これに加えて、紙おむつ代、介護用品、住宅改修費、通院交通費などが発生します。
 
症状が進行して、施設に入所した場合(若年性認知症の場合は医療機関など)、生命保険文化センターの同調査によると、自己負担額の平均は月13万8000円程度となっています(食費・居住費を含む)。若年性認知症の場合、受け入れ可能な施設が限られる点にも注意が必要です。
 

見落としがちな「収入減少」のリスク

介護費用そのもの以上に深刻なのが、収入が減るリスクです。配偶者が働けなくなることで世帯収入が減少し、さらに介護のために介護者が時短勤務や離職を余儀なくされるケースもあります。この場合、家計への影響は二重になります。
 
ただし、障害年金(若年性認知症は対象となるケースが多い)、傷病手当金、自治体独自の支援制度などを活用できる可能性があります。「貯金がないから打つ手がない」と諦めてしまう前に情報収集をして、公的制度を総動員することが重要です。
 

月額いくら不足する可能性があるか、その対策

シンプルなケースでどのくらい不足する可能性があるのか、どうやって手当していくべきか見ていきましょう。ここでは、ご相談内容に近い「働き盛り・貯金なし」を想定します。
 

夫:55歳・会社員
妻:52歳・若年性認知症で就労不可
子ども:なし(または独立)
持ち家なし/賃貸
貯金:ほぼなし

 

介護が始まったあとの「毎月の支出」
生活費(夫婦→実質1.5人分) ※月額目安
・家賃:8万円
・食費:5万円
・水道光熱費:3万円
・日用品:2万円
〇生活費合計:18万円
 
介護関連の自己負担 ※月額目安
・介護保険自己負担:3万円
・介護用品:1万円
・通院・交通費:5000円
〇介護費合計:4万5000円
■支出合計:月額22万5000円
 
介護後の「毎月の収入」
夫の手取り収入(手取り):28万円 フルタイム継続と仮定
妻の収入(公的給付):約6万5000円
※初診日・保険料納付要件を満たすケース
■収入合計:34万5000円/月

 
月次収支シミュレーション:プラス12万円と、一見黒字ですが、これには以下の費用、収入減が含まれていません。
 

1. 将来の施設入所費(8~15万円/月)
2. 夫が時短・休職した場合の収入減
3. 定年後の年金生活
4. 介護の長期化(平均5年以上)

 
仮に、夫の定年後(65歳)を想定した場合、
夫の年金:16万円
妻の障害年金:6万5000円
■年金合計:22万5000円
 
に対して、支出は生活費+介護費で22万5000円と収支トントンとなり、貯金がゼロという前提ならば、経済的不安がのしかかります。さらに、施設入所(+10万円)になれば、月10万円の不足が生じます。
 
このような状態に陥ることを極力防ぐために、今すぐできる現実的な対策として、まず、障害年金の確実な受給申請をすることが何より重要です。次に公的施設の早期申し込みを検討しましょう。公的施設は順番待ちで何年もかかる場合が多く見られます。
 
そして夫がフルタイムで働けるうちに、介護専用積み立て、住居費の見直し、地域包括支援センターへの相談・利用手続きを始めることが大切です。
 

まとめ:一人で抱え込まない

若年性認知症と向き合うことは、精神的にも経済的にも大きな負担です。しかし、介護費用はすべて自己負担になるわけではなく、介護保険・年金・各種支援制度を組み合わせることで、家計の破綻は防げる可能性があります。
 
まずは、要介護認定の申請、市区町村の地域包括支援センターへの相談、年金や保険の確認から始めましょう。お金の問題は、早く動いた人ほど選択肢が広がりますが、「不安なときほど、正しい情報収集と支援を求める行動」が求められます。
 

出典

厚生労働省 特定疾病の選定基準の考え方
公益財団法人生命保険文化センター 「生命保険に関する全国実態調査(介護)」介護にはどれくらいの費用・時間がかかる
公益財団法人生命保険文化センター 若年性認知症について知りたい
厚生労働省 若年性認知症ハンドブック
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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