定年退職した父が「コンビニ夜勤なら時給1250円」と張り切り、母は「年金と貯金だけで暮らせるでしょ」と反論。実際、老後の必要資金はいくらなのでしょうか?
こうした話し合いで難しいのは、「どれくらい働くのが適切なのか」を感覚ではなく、家計全体の視点で判断することです。本記事では、定年後の収入と年金の関係、家計への影響を整理しながら、無理のない働き方を考えるためのヒントを解説します。
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定年後も働く人はどれくらいいるのか
現在、定年後も何らかの形で仕事を続ける人は珍しくありません。
内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、65~69歳の就業者数は383万人(就業率52.0%)70~74歳は303万人(同34.0%)となっており、定年後も働く人が決して少数派ではないことが分かります。
また、65歳以上の就業者は20年連続で前年を上回っており、高齢期に働くことがごく一般的になりつつあるといえるでしょう。この背景には、生活費の補てんや家計に少しでも余裕を持たせたいという思いに加え、健康維持や社会参加への意識の高まりがあると考えられます。
一方で、定年後の仕事は現役時代と同じ条件で続けられるとはかぎりません。再雇用や再就職では、役割や勤務形態が変わり、収入面でも違いを感じる人が多いのが実情です。
フルタイムで働く場合でも、定年前と比べると月々の収入は抑えられることが多く、「思ったほど増えない」「減ってしまった」と感じる人も少なくありません。
収入と年金の関係は意外と複雑
定年後の働き方を考える際に見落とされがちなのが、公的年金との関係です。一定以上の給与収入がある場合、老齢厚生年金の一部が調整される「在職老齢年金」という仕組みがあり、単純に「働いた分だけ家計が楽になる」とはかぎりません。
ただし、この調整は「月収+年金の合計が51万円(2026年4月以降は62万円)を超えた場合に限られ、短時間勤務やパート、夜勤のアルバイト程度であれば影響を受けないケースがほとんどです。重要なのは、働く前に「どの程度の収入までなら年金に影響が出ないのか」を把握し、手取りベースでの増減を確認することです。
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年金と貯蓄だけで暮らせる家庭は多くない
高齢期の暮らしを考えるうえでは、公的年金や貯蓄でどれだけの生活費を賄えるかを家計データで確認することが重要です。
総務省の「家計調査年報(家計収支編)2024年」によると、夫婦ともに65歳以上の無職世帯では、実収入から税金や社会保険料を差し引いた可処分所得が22万2462円である一方、消費支出は25万6521円で、月に3万5000円程度不足する構造になっています。また、65歳以上の単身無職世帯でも同様に、支出が可処分所得を上回る傾向です。
このように、年金と貯蓄だけでは生活費を長期的にカバーしきれない世帯が少なくないことが、最新統計からうかがえます。せっかく蓄えた貯蓄を取り崩し続けると、将来の不確実性が高まるため、家計全体の収支バランスを踏まえて働く収入を考えることが現実的でしょう。
どれくらい稼ぐかは家計から逆算する
定年後の仕事を考える際、「夜勤なら時給が高い」「短時間でも効率よく収入を得られる」といった理由から、時給水準に注目する人も多いでしょう。
実際のところ、地域によっては夜間帯のアルバイトで時給1200円前後となるケースもあります。
しかし、家計の視点で見ると、重要なのは時給の高さそのものではなく、「月にどれくらいの収入になるのか」「その働き方が生活リズムや健康に与える影響はどうか」といった点です。
定年後の働き方で大切なのは、収入目標を先に決めるのではなく、家計全体から逆算することです。まずは、毎月の生活費や今後想定される支出を整理し、年金収入でどこまで賄えるのかを確認します。そのうえで不足が恒常的なのか一時的なのかを見極めることも重要です。
例えば、「生活費の一部をカバーできれば十分」という家庭であれば、週に数日の勤務でも意味があります。一方、夜勤など身体への負担が大きい働き方は、短期的には収入が増えても、健康を損なえば結果的に家計の負担を増やしかねません。
そのため、収入額だけでなく、無理なく続けられる働き方を選ぶことが、結果的に家計の安定につながるといえるでしょう。
定年後は家族で納得できる働き方を選ぼう
定年後の働き方に正解はありません。しかし、年金や貯蓄の状況、今後の支出、健康状態を踏まえずに、「まだ稼げるから」と考えたり、家族から「心配だからやめてほしい」と感情的に反応したりすると、後悔につながりやすくなります。
そのため、家計の数字を共有し、どの程度の収入があれば安心できるのかを家族で話し合うことが、結果的に無理のない働き方と穏やかな老後生活につながります。家計の状況を整理したうえで、家族で納得できる働き方を選びましょう。
出典
内閣府 令和6年版高齢社会白書(全体版)1 就業・所得
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
総務省 家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
