定年後も現在の会社に残るか、別の会社に転職するかで迷っています。今の会社の再雇用は給料が安く、転職すれば年収は上がりそうですが、環境になじめるか不安です。老後に転職を選ぶ人は、少数派なのでしょうか?
そこで本記事では「転職は少数派なのか?」という疑問に数字で答えつつ、後悔しにくい比較のしかたを整理します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
【PR】うちの価格いくら?「今」が自宅の売り時かも
【PR】イエウール
定年後に転職する人は少数派?
「老後の転職=かなり少数」と思われがちですが、実態はもう少し幅があります。
株式会社インディードリクルートパートナーズ(東京都千代田区)が実施した、「『働く』に関する2万人調査 2025」(レポート分析対象:定年退職を経験し、現在就業している60歳以上の928人)によると、定年直後に定年前と同じ会社で働いていた人が約5割(51.2%)、定年前とは違う会社で働いていた人が約4割(40.3%)という結果でした。
つまり、転職(別の会社で働く)は「珍しい」とまではいえません。もちろん職種や地域で差はありますが、「周りにいない=少数派で浮く」と決めつけなくて大丈夫です。
また制度面でも、企業は65歳までの雇用確保(定年廃止・定年引き上げ・継続雇用など)を取ることが義務で、厚生労働省では実施企業が99.9%と公表されています。このように、残る道が用意されやすいからこそ、迷う人が多いのも自然なことでしょう。
再雇用は給料が下がりやすい。手取りは年金・保険まで見て判断しよう
再雇用で「給料が安い」のは、よくある悩みです。定年前と役割や責任が変わる、雇用形態が嘱託や契約などに変わることで、賃金が下がりやすい傾向があります。ただし、大事なのは年収の額面だけで比較しないことです。
特に見落としやすいのが、働きながら年金を受け取る場合の「在職老齢年金」です。賃金(総報酬月額相当額)と老齢厚生年金の基本月額の合計が基準額を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になる仕組みです。基準額は見直されることがあり、2026年4月からは65万円となります。
転職で年収が上がっても、「年金が停止される+社会保険料が増える」で、手取りの伸びが思ったより小さいことがあります。逆に再雇用で年収が下がっても、年金が止まりにくくなり、家計としては安定するケースもあります。
比較するときは、「額面年収」ではなく「月の手取り(給与+年金−税金−社会保険)」で並べるのがコツです。
【PR】我が家は今いくら?最新の相場を無料で簡単チェック!
【PR】イエウール
転職で後悔しないための決め方
新しい環境になじめるか不安という感覚は、かなり現実的です。ここは気合で消すより、不安が小さくなる条件を先に決めるほうがうまくいきます。年収と同じくらい判断に影響するのは、次の3つです。
1. 仕事内容の再現性
今までの経験が、そのまま役に立つ仕事ほど、環境が変わっても成果が出やすく、なじむスピードも上がります。例えば、管理職より現場で積み上げた専門性(経理実務、法務、設備保全、営業の得意領域など)のほうが、会社が変わっても通用しやすいことがあります。
2. 人間関係の作りやすさ
面接では仕事内容だけでなく、「同年代はいるか」「評価は成果重視か、年功要素が残るか」「入社後に引き継ぎ・研修などの立ち上がり支援はあるか」を確認すると、なじめるかの見通しが立ちます。
3. 働き方の負荷
通勤時間や残業、出張、立ち仕事の割合などは、60代以降の生活や体力への影響が大きくなります。年収が上がっても、体力的にきついと継続が難しくなるでしょう。逆に、勤務時間や担当範囲がはっきりしている職場は長く続きやすく、結果として生活が安定します。
迷ったときは、「まず転職活動だけ始めて、条件がそろったら決める」でもよいでしょう。求人内容を見て初めて、再雇用の条件の良しあしも冷静に比べられます。
定年後の仕事は不安を減らしながら、納得できる選択をしよう
定年後に別の会社で働く人は決してごく少数ではなく、現実的な選択肢です。一方で、年収アップだけで飛びつくと、年金や社会保険、働き方の負荷で「手取り」や「続けやすさ」が想定どおりにならないことがあります。
定年後の仕事探しは、月の手取りで比べること、仕事内容の再現性・人間関係・負荷の3軸で不安を小さくすることが大切です。自分の希望条件を整理し、再雇用と転職の条件を比べて選べば、再雇用・転職のどちらでも「自分にとって納得できる働き方」に近づけるでしょう。
出典
株式会社インディードリクルートパートナーズ 「働く」に関する2万人調査 2025
厚生労働省 令和7年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します
厚生労働省 在職老齢年金制度の見直しについて
厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー


