退職金をもらうタイミングで「再就職するか、しないか」で税金の扱いが変わると聞きました。同じ金額を受け取る場合でも、働き方によってどれくらい手取りが変わってしまうのでしょうか?
結論から言うと、退職金を一時金で受け取る限り、再就職するかどうかで、退職金そのものの税金は変わりません。なぜなら退職金は、「退職所得」という特別な所得区分で扱われているからです。
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー
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退職金は「分離課税」という特別枠扱い
退職金は、給与や年金とは別枠で計算される「分離課税」が採用されています。そのため、退職後にどれだけ収入があっても、退職金の税額計算には影響しません。計算式は次のとおりです。
(退職金-退職所得控除)×1/2×税率
まず「退職所得控除」という大きな金額が控除され、さらに残った金額の半分だけが課税対象となります。長く勤めた人ほど控除額が大きくなるため、多くの人は思ったよりずっと少ない税金、あるいは非課税になります。
つまり、再就職して年収が増えても、退職金にかかる税金が増えることはありません。例えば、退職金2000万円、勤続38年の場合(「退職所得の受給に関する申告書」提出済)
・退職所得控除(20年超):800万円+70万円×(38年-20年)=2060万円
・課税対象額:2000万円-2060万円=▲60万円
・課税なし
となります。
それでも「再就職する、しないで」差が出ると言われる理由
では、なぜ「再就職すると損」「しないほうが得」という話が出てくるのでしょうか。それは、退職金ではなく、退職後にもらう給与や支払い社会保険料、税金が変わるからです。
差が出るのは「退職金」ではなく、年間を通しての手取り額なのです。具体的にみてみましょう。
社会保険料の負担について
退職金には、健康保険料や厚生年金保険料はかかりません。しかし再就職すると、給与から社会保険料が天引きされます。例えば年収300万円なら、毎月約4~5万円が社会保険料として、給与から引かれます。働くことで収入が増えますが、その分、毎月の手取りは減ります。
住民税の支払いについて
住民税は「前年の所得」のもとに課税されます。退職した翌年は、無職であっても、現役時代並みの住民税を支払う必要が生じることがあります。
再就職していない場合は、収入がないのに住民税だけは請求されることになります。そのため貯金や退職金を取り崩して支払うことになります。この負担感が「退職後は手取りが減る」と感じる要因です。
確定申告による還付について
年の途中で退職し、その後再就職しなかった場合、給与から天引きされていた所得税が払い過ぎになり、確定申告をすると戻ってくるケースがあります。一方同じ年に再就職して再び給与をもらうと、年間を通しての所得が増えるため、還付額は少なくなるか、戻らない場合があります。
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退職金を「年金方式」で受け取る場合
退職金を分割で受け取る「年金方式」にすると、所得区分は「雑所得」になります。この場合、再就職先の給与と合算され、税率が決まります。働きながら年金形式で受け取ると、税率が上がり、一時金で受け取るより手取りが少なくなる場合もあります。
まとめ
退職金を一時金で受け取る限り、再就職しても減りません。その差がでるのは、給与にかかる社会保険料、税金、住民税などです。再就職すれば、給与収入が得られる分、年間を通しての手取りは増えやすいと言えます。
出典
国税庁「退職金と税」
執筆者 : 水上克朗
ファイナンシャルプランナー、CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー
