【2026年度】年金額“4年連続プラス改定”でも、実質「年2万3000円」の赤字!? 支給額は“5000円”近く増えてるのにナゼ? 物価上昇率「3.2%」が家計にもたらす影響とは

配信日: 2026.03.05
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【2026年度】年金額“4年連続プラス改定”でも、実質「年2万3000円」の赤字!? 支給額は“5000円”近く増えてるのにナゼ? 物価上昇率「3.2%」が家計にもたらす影響とは
厚生労働省によると、2026年度の年金額は前年度から国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げとなりました。
 
具体的な受給例(夫婦2人分の基礎年金(満額)+夫の老齢厚生年金)では、前年度から月額4495円増額され、23万7279円となります。また、国民年金(老齢基礎年金・満額)についても、1人あたり月額1300円増の7万608円となり、4年連続のプラス改定となりました。
 
年金増額というニュースは、年金生活者にとって一見すると朗報ですが、生活はむしろ前年よりも厳しくなる「実質的な目減り」という厳しい現実が待ち受けています。
石井ヒロユキ

FP2級、AFP、社会保険労務士、第1種衛生管理者

年金額はここ数年でどれくらい増えている?

2026年度の年金額は増額改定になりましたが、ここ数年でどれくらい年金額は増えているのでしょうか? 国民年金(満額)の推移は以下の通りです。()は前年度比の金額を表します。


・2022年度:6万4816円(-259円)
・2023年度:6万6250円(+1434円)
・2024年度:6万8000円(+1750円)
・2025年度:6万9308円(+1308円)
・2026年度:7万608円(+1300円)

このように2023年度以降は年金額が上昇しており、2026年度は初めて月額7万円台を突破しています。
 

なぜ「年金が増えても苦しい」のか? 物価上昇率3.2%がもたらす家計への影響

年金増額の背景には、大幅な物価上昇があります。2026年度の年金額改定の指標となった2025年の消費者物価指数(生鮮食品を含む総合)は、前年比で3.2%もの上昇を記録しました。
 
もう1つの指標である名目手取り賃金変動率は2.1%となっており、物価の上昇に賃金が追いついていない状況があるため、改定率は物価変動率(3.2%)ではなく、名目手取り賃金変動率(2.1%)をベースに、マクロ経済スライドによる調整(基礎年金は-0.2%、厚生年金(報酬比例部分)は-0.1%)が行われました。
 
このように年金額は約1.9%~2.0%引き上げられますが、物価上昇により私たちの日々の生活コストはそれを大きく上回るペースで膨らんでいます。月20万円で生活している世帯の場合、物価3.2%上昇の影響で支出は約6400円増加することになります。
 
つまり年金が月額で約4500円増えても、支出が約6400円増えるため、家計の収支は実質的に月1900円、年間で約2万3000円も負担増となります。
 

マクロ経済スライドと年金額改定の仕組み

なぜ、物価が3.2%も上がっているのに、年金は2%程度しか増えないのでしょうか。それは年金改定のルールとマクロ経済スライドによる調整という年金制度の持続性を保つための調整機能にあります。
 
年金額は本来68歳以上の年金受給者は物価変動率に応じて毎年度改定を行う仕組みとなっています。しかし、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は、現役世代の負担に応じた給付とするため、物価変動率ではなく、名目手取り賃金変動率を用いて改定することになっています。
 
さらにマクロ経済スライドによる調整は現役世代の減少や平均余命の伸びに合わせて、年金の給付水準を自動的に抑制するものです。2026年度はこの調整により、基礎年金で0.2%、厚生年金で0.1%分、本来の上昇分から差し引かれています。
 
このような改定ルールにより、結果として物価上昇に追いつかない目減り改定となりました。
 

まとめ

2026年度の年金額は増額改定となり、2023年度から4年連続で増額となりました。しかしそれ以上の物価上昇により、年金が増えても家計は苦しくなります。
 
物価上昇に賃金の上昇が追いつかない現状が続けば、年金生活者はたとえ年金が増えても生活は年々厳しくなります。そのため節約や年金以外の収入を増やすなどの対策が必要になるでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和8年度の年金額改定について
厚生労働省 令和7年版厚生労働白書 年金編
 
執筆者 : 石井ヒロユキ
FP2級、AFP、社会保険労務士、第1種衛生管理者

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