60歳になるまで「旅行は我慢」「貯金一択」でした。こんなに節約ばかりの人生でよかったのでしょうか? 60歳から“使うお金”の考え方とは
本記事では、「貯める」ことを重視してきた家計が、どのように「使う」段階へ移行していくべきか、その考え方を整理します。
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60歳は「貯める」から「使う」への転換期。“節約ばかりの人生”を卒業すべき理由とは
「将来が不安だから」と、長年旅行も外食も我慢し、貯金一筋で歩んでこられた方もいるかもしれません。しかし、60歳という節目は、これまでの「資産形成期」から、蓄えたお金を人生の豊かさに変える「資産活用期」への大きな転換点といえます。
まず理解しておくべきは、「お金」そのものは手段であり、目的ではないということです。現実には、十分な資産を保有したまま生涯を終えるケースも少なくありません。
“節約ばかりの人生”を卒業すべき最大の理由は「健康寿命」にあります。厚生労働省の資料では、令和4年における健康寿命の平均は男性が約73歳、女性が約75歳です。旅行や趣味を心から楽しめる時間は、私たちが想像しているよりも限られています。
資金の価値は金額そのものだけでなく、使う時期や状況によっても左右されます。いつ使うかという視点も、老後資金を考えるうえでのひとつの要素といえるでしょう。
「今」しかできないお金の使い方を考える
「資産を取り崩すと将来不足するのではないか」という不安は、今後の支出見通しが明確でないことから生じる場合があります。まずは公的年金でどの程度の生活費を賄えるのかを確認し、不足が見込まれる場合の補てん額を把握することが、過度な不安を抑える第一歩となります。
そのうえで、健康状態や活動範囲に余裕のある60代のうちに、どのような支出を優先するかを検討することもひとつの考え方です。
例えば、長距離の旅行や新たな学び、家族との体験などは、年齢を重ねると実行が難しくなる可能性があります。支出を単なる消費と捉えるのではなく、生活の充実につながる資金配分として位置づける視点も、老後資金の活用を考えるうえで参考になります。
資産を枯渇させない「賢い取り崩し術」
無計画に貯金を切り崩すのは避けるべきです。そこで取り入れたいのが、システマチックな「取り崩しルール」です。有効な手法としては「定額取り崩し」と「定率取り崩し」があります。
・定額取り崩し:毎月5万円など決まった額を引き出す方法。生活費の補てんに向いています。
・定率取り崩し:資産残高の3%など、一定割合で引き出す方法。資産が減るほど引き出し額も減るため、理論上、資産寿命が長くなる安心感があります。
また、運用を続けながら少しずつ取り崩すことで、手元の現金を急激に減らさずに済みます。例えば、資産の一部をNISAなど税制優遇制度を活用して運用しながら、毎年の「旅行代」だけを取り崩すといった管理術も有効でしょう。
後悔しない人生の歩み方
老後資金への不安を軽減するためには、まず公的年金でどの程度の生活費を賄えるのかを確認し、そのうえで年金以外の資産をどのように活用するかを整理することが有効です。預貯金や金融資産を、単に「減らさない資金」としてではなく、生活の質を高めるための計画的な予算として位置づける視点も考えられます。
今後20年、30年の資産管理は、残高の維持だけでなく、どのように取り崩していくかという設計も含めて検討することが重要です。将来への備えと現在の充実のバランスをどのように取るかが、老後資金の活用におけるひとつのポイントとなります。
出典
厚生労働省 健康・生活衛生局健康課 健康寿命の令和4年値について(2ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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