ひとり暮らしの85歳の親が認知症になりました。認知症ケア専門スタッフの介護を受けられる施設はありますか?
本記事では、グループホームとはどんな特徴のある施設か、費用はどのくらい必要かについて解説します。
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)とは
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、比較的安定した状態にある認知症の要介護者(要支援者)が、少人数で生活できる地域密着型の施設です。共同生活が前提ですので、他人に暴言や暴力を振るう人は入居を断られる場合があります。
地域密着型の施設は、住み慣れた地域でできるだけ長く生活できるようにという趣旨で設けられた施設で、原則として、事業者のある市区町村の住人だけが利用できます。そのため、サービスを実施できない市区町村もありますので注意しましょう。
厚生労働省の「令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査」によると、事業所数は1万4341事業所あります。ちなみに、介護老人福祉施設(特養)は8621施設、介護老人保健施設(老健)は4214施設、介護医療院は917施設あります。
施設の形態は、民家、アパートなどさまざまです。個室(7.43平方メートル以上)、リビング、台所、浴室など日常生活に必要な設備が整っています。個室はあまり広くありません(有料老人ホームは13平方メートル以上)。
1ユニット5~9人の認知症の方が家庭的な雰囲気で共同生活を送りながら、なじみの介護スタッフにより入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の介助や機能訓練などが受けられます。また、料理や掃除などの家事を職員と一緒に行ったり、入居者同志で助け合ったりして能動的に生活します。
利用できるのは、主治医の診断書などで認知症であることを確認された、要支援2以上の方です(要支援1の方は利用不可)。
グループホームを利用するメリット
本章では、グループホームを利用するメリットを見てきましょう。
認知症の方は、新しい環境に適応するのが苦手です。家庭的な雰囲気のなか、少人数で共同生活することで、入居者同志やスタッフとなじみの関係になりやすく、心身の状態を穏やかに保つことができます。
食事の支度、掃除、洗濯、入浴等をスタッフにサポートしてもらい、各自ができる部分は自分で行うので、認知症の症状の改善や進行の防止に役立ちます。
入居者は同じ住民なので、共通の知り合いや話題も見つけやすく、コミュニケーションをとりながら生活できます。共有スペースとしてリビングやダイニングもあるので、家族や地域住民との交流も可能なので楽しく暮らせます。
また、認知症ケアを専門とするスタッフによるサポートを受けられるのも安心です。ただし、対応できる医療ケアには限りがありますので、けがや体調の急変などに備えて、医療体制について入居前に確認しておきましょう。
グループホームの費用
グループホームでは、入居時に一時金を支払い、入居後に月額費用を支払います。月額費用は、介護サービス費用のほか、別途、居住費、食材料費、理美容代、おむつ代などがかかります。
サービス費用の利用者負担は、介護保険の費用の原則1割です。例えば、要介護1の認知症の方が1ユニットの施設を利用した場合、サービス費用の利用者負担は2万2950円/月(765円/日)です。ただし、一定以上の所得のある人の場合は2割または3割負担となります。居住費、食材料費、理美容代、おむつ代などは実費です。
地域差がありますが、トータルで月額利用料の目安は、月10~30万円程度です。入居一時金は、施設により大きく異なるため、問い合わせて確認しましょう。
図表1
グループホームの費用の負担軽減
年金が主な収入源である高齢者にとって、介護サービスの利用者負担が1割であったとしても、居住費(家賃)、食材費および光熱水費は全額負担なので、家計にとってかなりの負担です。
介護保険施設である介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院では低所得者に対し、食費と居住費を軽減する制度がありますので、ぜひ確認してみましょう。
認知症対応型共同生活介護事業所(認知症グループホーム)には、市区町村独自の支援策として、低所得者で居住費(家賃)、食材費および光熱水費の支払いが困難な方に、事業所を通じて家賃等の費用負担を軽減する支援をしている場合がありますので、ケアマネに相談してみてください。
出典
厚生労働省 令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査の概況
厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 どんなサービスがあるの? -認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
厚生労働省 指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準
執筆者 : 新美昌也
ファイナンシャル・プランナー

