高齢の父が認知症になり、預金口座が凍結されてしました。どうしたら解除してもらえますか?
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
人事部門で給与・社会保険、採用、労務、制度設計を担当、現在は人材会社のコンサルトとして様々な方のキャリア支援を行う。キャリア構築とファイナンシャル・プランの関係性を大切にしている。
口座凍結
認知症などにより本人の判断能力が低下した場合、銀行口座が凍結されてしまうことがあります。口座凍結されると、資金の引き出し・振り込み・口座引き落としができなくなってしまいます。
医療や介護で本人にお金が必要な場合であっても、本人に限らず家族であっても、口座からお金を引き出すことはできなくなります。年金の振り込みは継続して行われますが、年金受取口座から年金を引き出すことはできなくなってしまいます。老後資金として貯めたお金も、引き出すことができません。
なぜ、口座凍結されるのか?
理由は、認知症により判断能力が低下した方の財産を守るためです。判断能力が低下すると、十分に理解をしない状態で金融取引をしてしまう危険性や、振り込め詐欺などの被害に遭う可能性が高まります。
そのような危険から守るために、銀行は口座を凍結し、預金の引き出しができないようにしています。
凍結された口座を解除する方法は?
認知症による口座凍結を解除するには、「成年後見制度」を利用します。成年後見制度とは、判断能力が不十分になった人に対し、家庭裁判所が選任した成年後見人が、本人に代わって財産管理や契約を行う制度です。
後見人は、司法書士や弁護士などの専門職が選ばれるケースが多いです。住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行い、後見人が選任された後に銀行で手続きを行います。
手続きには、時間がかかります。申立てから利用開始まで早ければ1~2ヶ月、4ヶ月程度を要することもあります。また、申立てをする際には家庭裁判所への申立て費用が発生します。その後は、毎月後見人への報酬が発生します。
まとめ
口座凍結の解除に手続きには時間を要し、また費用も発生します。そのため、事前に対策を講じたいところです。すべての金融機関が対応しているわけではありませんが、比較的利用しやすい対策について代表的なものを最後に紹介します。
【予約型代理人サービス】
本人がまだ判断能力のある段階で、将来判断能力が低下したときに備え、自分の代わりとして銀行での取引を任せたい代理人(家族)を銀行に届け出ておく制度です。代理人として登録できるのは、通常は配偶者や2親等以内の親族(子ども・兄弟姉妹・孫など)です。
手続きは、銀行で所定の届け出を行うだけで完了します。将来、本人の判断能力が低下した際には、代理人が診断書を提出すれば代理取引が開始できるため、急な資金手当てにも対応しやすい制度です。
【代理出金機能付信託】
信託口座にスマートフォンアプリでの代理出金機能を設けて、契約者が認知症になった場合には、指定した代理人(家族など)がアプリで払出請求を行うことができる商品です。払出請求の内容は、代理人とは別に指定した他の家族にもアプリで通知され情報が共有できるため、安心して資金を管理できる商品です。
出典
厚生労働省 パンフレット 成年後見制度
執筆者 : 仁木康尋
日本FP協会CFP(R)認定者、国家資格キャリアコンサルタント
