父は定年後「シルバー人材センター」で“植木剪定”の仕事がしたいとのこと。以前「時給換算すると最低賃金以下」と聞いたので心配ですが、いくら稼げますか? 収入をシミュレーション
本記事では、シルバー人材センター特有の「配分金」という仕組みや、実際に剪定作業でどれくらい稼げるのかという収入シミュレーションを詳しく解説します。
FP1級、CFP、DCプランナー2級
シルバー人材センターとは?
定年退職後の父親が「植木剪定を始めたい」と意欲を見せたとき、家族が最初に理解しておくべきなのはシルバー人材センターという組織の性質です。
シルバー人材センターは、定年退職後の高齢者に「臨時的かつ短期的、またはその他の軽易な業務」を提供する公益社団法人などを指します。営利を追求する企業とは異なり、高齢者の「生きがいの充実」や「地域社会への参加」を第一の目的として運営されています。
現役時代のように「生活費を稼ぐために長時間バリバリ働く」といった就労スタイルとは、根本的な目的が異なると捉えておきましょう。
雇用契約とは異なる「配分金」の仕組みとは?
シルバー人材センターでの働き方が「時給換算で最低賃金以下」になり得るのは、会員とセンターが請負契約をする際に「雇用関係」が存在しないのが最大の理由です。
通常、私たちが会社やお店で働くときは雇用契約を結ぶため、労働基準法や最低賃金法によって権利が守られています。対してシルバー人材センターの会員は、センターから仕事を「請負」または「委任」という形で引き受ける「個人事業主」のような扱いになります。
支払われる報酬は賃金(給与)ではなく、「配分金」という名称になり、法的な最低賃金の適用を受けません。仕事の成果に対して報酬が支払われるため、作業に時間がかかりすぎると、結果として時給換算額が低くなってしまうケースが出てきます。
植木剪定の仕事で月いくら稼げる? シミュレーション
実際に植木剪定の仕事をした場合、父親は月にどれくらいの収入を得られるのでしょうか。植木剪定は専門技術が必要なため、除草や清掃などの一般作業に比べると単価が高く設定されている傾向にあります。
地域やセンターによって差はありますが、日当制の場合、1日あたり8000円~9000円程度が相場といわれています。例えば飯能市のケースでは1日8800円~となっていて、熟練度が上がればさらに高収入になることもあるでしょう。
就業日数の上限はセンターの規定により異なりますが、仮に日当9000円の仕事を月8日間(週2日)稼働した場合の収入を計算してみましょう。「9000円×8日=7万2000円」となります。もし未経験で補助的な作業からスタートする場合は、日当がもう少し下がり、月収3万~5万円程度になるケースも想定されます。
現役の植木職人のように毎日働くのは難しいですが、年金にプラスしてこれだけの収入があれば、お小遣いとしては十分な額といえるでしょう。時給に換算しても1300円を超えるケースも多く、植木剪定に関しては「最低賃金以下」という心配は該当しにくい職種といえます。
実際、吹田市では令和7年1月からの庭木剪定の配分金が1時間あたり「1300円から1700円」となっています。
まとめ
シルバー人材センターは、就業を通して生きがいや健康を得るための場所であり、生活費を稼ぐための場所とは少し性質が異なります。雇用契約ではない「請負」という形をとった場合、最低賃金法の適用はありませんが、作業時間次第で時給換算が低くなる懸念は相対的に低く、植木剪定などの技術職は比較的高い報酬が期待できます。
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級