孫の大学入学で「100万円援助してほしい」と言われました。70代夫婦、年金は「月20万円」です。出しても大丈夫でしょうか?
本記事では、平均的な高齢世帯の家計状況や贈与のルールをもとに、判断の目安を解説します。
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目次
70代夫婦の家計は赤字? 「月20万円」の年金生活のリアルと平均支出
孫の大学入学というおめでたい節目に「100万円の援助」を頼まれると、祖父母としては喜んで力になりたいと思う反面、自分たちの今後の生活に不安がよぎるのも無理はありません。まずは、70代夫婦の一般的な家計状況を客観的なデータで確認しましょう。
総務省統計局が発表した「家計調査報告(家計収支編)2024年(令和6年)平均結果の概況」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の実収入は、平均で25万2818円です。これに対し、消費支出は25万6521円、総支出は28万6877円となっており、月あたりでは赤字が生じている計算になります。
現在の生活費が年金など収入内で収まっているのか、それとも毎月貯蓄を取り崩しているのかを、まずは把握する必要があります。100万円という金額は、月々の不足額を補うための予備費としては決して小さくない額であることを再認識しましょう。
100万円の援助は「教育資金贈与」に該当? 知っておきたい非課税のルール
100万円を渡す際、気になるのが「贈与税」などの税金のルールです。通常、年間110万円までの贈与であれば基礎控除の範囲内であり、贈与税はかかりません。今回の「100万円」については、孫がその年に他からの贈与を受けていない場合には、基礎控除の範囲内に収まるため、贈与税が課される可能性は低いと考えられます。
また、国税庁の指針によれば、生活費や教育費として必要な都度、直接それらに充てるための贈与は非課税とされています。この場合、現金で100万円を手渡すよりも、入学金や授業料を祖父母の口座から直接振り込む形をとることで、教育目的であることを明確に証明でき、トラブルを防ぐことができるでしょう。
「出せる・出せない」の判断基準は? 老後資金を守りつつ孫を応援する3つのチェック項目
「月20万円」の年金で100万円を出しても大丈夫かどうかを判断するには、以下の3つの項目をチェックしてください。
第一に、「生活防衛資金」が手元に残るかです。病気やけがなど、急な出費に対応できる現金(一般的に生活費の半年~1年分)を差し引いても余裕があるかを確認しましょう。
第二に、平均余命を見据えたシミュレーションです。70代の夫婦が90歳、95歳まで生きることを想定した場合、物価上昇や将来の介護費用を考慮しなければなりません。
第三に、「一括」ではなく「分割」での支援は可能かという検討です。入学時に100万円を出すのが厳しい場合、例えば「入学祝いに20万円、あとは毎月5000円のお小遣いを送る」といった形でも、孫にとっては大きな支えになります。
大切にしたいのは「お金」以上に「対話」。無理のない範囲で感謝が循環する支援の形
孫の教育資金を援助することは、単なる経済的支援にとどまらず、家族の絆を深めるよい機会となるでしょう。しかし、そのために祖父母の生活が困窮し、将来的に子ども世代(孫の親)に負担をかけてしまっては本末転倒です。
まずは、夫婦で自分たちの老後に必要となる資金額について、現実的な前提に基づいて整理しておくことが重要です。
そのうえで、家計に無理のない範囲で拠出可能な金額を見極めることが、将来の生活とのバランスを保つうえでもポイントとなります。結果として、無理のない範囲での支援は、贈る側・受け取る側双方にとって納得感のある形になりやすいといえるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2024年(令和6年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2024年-(18ページ)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
