退職金「1700万円」を全額預金で大丈夫? 夫は“投資”を主張…“置いておくだけ”では損になりますか?
今回は、預金と投資、それぞれの考え方を整理してみましょう。
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目次
退職金1700万円を「全額預金」にするリスク:物価上昇で「お金の価値」は目減りする
定年退職という人生の節目に受け取る退職金は、その後の生活設計において重要な資産となります。1700万円というまとまった資金を前に、「元本を減らしたくないから全額を預貯金で保有したい」と考えるのは、自然な判断といえるでしょう。しかし、現代の経済状況下では、銀行に「置いておくだけ」が最も安全な選択とは言い切れません。
最大の敵は「物価上昇(インフレ)」です。近年の食品やエネルギー価格の高騰は家計を圧迫しています。仮にインフレ率が年2%で推移した場合、現在の1700万円で購入できるものは、10年後にはおおよそ1395万円相当の価値にまで目減りしてしまう可能性があります。
また、日本のメガバンクの普通預金金利は上昇傾向にあるものの、依然として物価上昇率を上回るほどの利息は期待できません。物価の上昇は実感として定着しており、預金のみでは「実質的な資産のマイナス」を招くリスクがあるのです。
夫が主張する「投資」のメリットは? NISAの非課税枠を活用しつつインフレに備える
一方で、旦那さまが投資を主張されるのは、将来的な「資産寿命の延伸」を考えてのことでしょう。人生100年時代と言われる中、退職金を取り崩すだけの生活では、80代や90代で資金が底を突く不安が残ります。
ここで活用を検討したいのが、2024年から抜本的に拡充された「NISA(少額投資非課税制度)」です。NISAでは、一定の条件のもと、売却益や配当金にかかる約20%の税金が非課税となります。
1人あたりの非課税保有限度額は1800万円(うち成長投資枠は1200万円まで)と設定されており、夫婦それぞれの口座で別々に活用すれば、世帯で最大3600万円の非課税枠を持つことが可能です。
長期・積立・分散投資を行うことで、元本割れのリスクを抑えつつ、安定的なリターンを得られる可能性が高まります。投資には、インフレから資産を守るための「防衛策」としての側面があるのです。
理想は「預金と投資のハイブリッド」:資産寿命を延ばすための具体的なポートフォリオ例
大切なのは、「安心(預金)」と「成長(投資)」を切り分けないことです。1700万円をどちらか一方に全振りするのではなく、目的別に色分けした「ポートフォリオ(資産構成)」を組みましょう。具体的には、以下の3つの区分で考える方法が挙げられます。
(1)生活防衛資金(即座に引き出せる普通預金など):月々の生活費の6ヶ月~1年分を目安に、必要に応じて厚めに備える
(2)数年内に使う予定の資金(定期預金など):リフォームや旅行、車の買い替え費用など
(3)当面使う予定のない余剰資金(投資など):ここで初めてNISAなどを活用した運用に回します。
例えば、1700万円のうち1000万円をネット銀行などの比較的高金利な預金に預け、残りの700万円を世界株や債券を組み合わせた投資信託で運用する形です。これにより、手元のキャッシュを確保して精神的な安定を保ちつつ、一部の資金に「働いてもらう」ことで、物価上昇に備える力が高まります。
一般に、高齢者世帯の所得の多くは年金が占めますが、運用益がそこに加わることで、生活の選択肢が広がる可能性があります。
夫婦で「リスクの許容範囲」を共有し、納得感のある資産運用で安心のセカンドライフを
退職金1700万円をどう扱うかは、これからの20年、30年の生き方を決める重要な選択です。結論として、全額を預金に置いておくことは「価値の目減り」という点では損になる可能性があります。一方で、退職金の全額を投資に充てた結果、市場の変動によって大きな損失が生じ、不安が増すような状況は避ける必要があります。
そのため、資産運用を検討する際には、どの程度の損失であれば許容できるのかといった点について、事前に整理し、夫婦で十分に話し合っておくことが重要といえるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー