75歳の両親は「貯蓄2000万円」あるのに“外食・旅行”もせず貯めっぱなしです。この額は「高齢者の平均」より多いですか? お金があっても使わない人も多いのでしょうか? 貯蓄額・生活費を確認
本記事では、高齢者の平均的な貯蓄額や生活費の実態を確認しながら、「なぜ使わないのか」という理由と、上手なお金の使い方について考えていきます。
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など
高齢者の貯蓄はどれくらい?
まずは、高齢者の貯蓄水準を見てみましょう。金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、二人以上世帯の金融資産の中央値は、60代で約1400万円、70代で約1178万円となっています。
中央値は、一部の高額資産保有者の影響を受けにくく、実態を把握する際の参考になる指標といえます。このデータと比較すると、75歳で貯蓄2000万円というのは、中央値を大きく上回っており、比較的余裕のある水準といえるでしょう。
実際の老後の生活費はどれくらい?
それでは、高齢者は実際にどのくらいお金を使っているのでしょうか。総務省の「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果」によると、高齢者世帯(65歳以上の夫婦のみの無職世帯)の1ヶ月あたりの支出は次の通りです。
・消費支出:約26万3979円
・非消費支出:約3万2850円
これらを合計すると、月あたり約30万円の支出となります。ただし、これはあくまで平均値であり、持ち家か賃貸か、健康状態、生活スタイルなどによって大きく差が出ます。
貯蓄があってもお金を使わない理由
本記事のように、なぜ貯蓄があってもお金を使わない高齢者がいるのでしょうか。理由の1つは「将来への不安」です。長寿化が進む中で、「あと何年生きるか分からない」という不確実性があり、生活費だけでなく医療費や介護費への備えとしてお金を温存しようとする傾向があります。
また、「年金だけで生活したい」という意識から、貯蓄はあくまで最後の備えと考えている人も少なくありません。さらに、長年の節約習慣が身についている人もいます。現役時代に家計を切り詰めてきた人ほど、「お金は使うものではなく、守るもの」という価値観が根強く残っていることもあるでしょう。
親に気持ちよくお金を使ってもらうには?
こうした価値観を踏まえると、「もっと使えばいいのに」と伝えても、なかなか行動は変わらないかもしれません。そのため、無理に使わせようとするのではなく、安心して使える環境を整えることが重要です。
例えば、将来必要になりそうな医療費や介護費の目安を一緒に確認し、「これだけあれば大丈夫」という見通しを共有することで、不安を和らげることができます。また、「旅行に行こう」「一緒に外食しよう」など、具体的な使い道を提案することも効果的です。
自分のためだけでなく、家族との時間に使うお金であれば、心理的なハードルが下がるケースもあります。
まとめ
75歳で貯蓄2000万円というのは、統計上は平均的な水準を上回る比較的余裕のある状況といえます。しかし、高齢者の中には将来への不安や長年の節約意識から、貯蓄があっても積極的にお金を使わない人も少なくありません。
そのため、「使わない=おかしい」と考えるのではなく、その背景にある価値観や不安を理解することが大切です。親が安心してお金を使えるようにするためには、将来の見通しを共有したり、具体的な使い道を提案したりするなど、寄り添ったコミュニケーションが重要といえるでしょう。
出典
総務省統計局 家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要
金融経済教育推進機構(J-FLEC)家計の金融行動に関する世論調査2025年
執筆者 : 三浦大幸
2級ファイナンシャルプランニング技能士/日商簿記3級/第一種衛生管理者/証券外務員/英検2級など