定年後にハローワークで「失業手当」の手続きをした父。失業手当を受けている間は、本来もらえるはずの年金は”全額カット”されるって本当ですか?
今回のケースでは、ある父親が失業手当の受け取りを申請していますが、家族は父親が年金を受け取れなくなることを心配しているようです。
今回はお父さまが何歳で定年退職を迎えたのか不明ですが、60~64歳で退職する場合と65歳以上で退職する場合では、受け取れる雇用保険の給付や年金との関係が異なります。そこで本記事では、年金と失業手当の関係について解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
65歳未満は「失業手当」と「年金」の同時受給はできない
60~64歳の期間中、雇用保険の基本手当(失業手当)を受け取ると年金を全額カットされます。この仕組みは、「雇用保険の失業手当と年金の併給調整」と呼ばれています。雇用保険と年金が別々の保険制度であり、両者を同時に受給することに矛盾があるとの考え方です。
失業手当は「就業意欲のある人を対象とするもの」であるのに対し、年金は「原則として現役引退した人を対象」とします。就業意欲と現役引退が混在している状態になるため、このような調整が行われます。
ただし、この制度は「特別支給の老齢厚生年金」の対象者に関連しています。具体的には「昭和36年4月1日以前に生まれた男性」と「昭和41年4月1日以前に生まれた女性」が対象です。
これらの日付以降に生まれた人の場合、制度の対象外であり、同時受給の制限は適用外となります。とはいえ、対象外の人は年金受給開始のタイミングが原則65歳になるため、そもそも60~64歳の段階では年金受給が始まりません。
失業手当と年金の併給調整が実施される期間
雇用保険の失業手当と年金の併給調整が実施される期間は、「ハローワークで求職の申し込みを行った日の属する月の翌月から、失業手当の受給期間が経過した日の属する月もしくは所定給付日数を受け終わった日の属する月まで」です。
例えば、昭和40年3月1日に生まれた現在61歳の女性が、2026年4月1日に求職の申し込みをし、失業手当の受給期間は150日(8月まで)だと仮定しましょう。この場合、2026年5月から8月までの間、年金が全額支給停止されます。
65歳以上だとどうなるのか
特別支給の老齢厚生年金の対象者が65歳以上である場合、年金と失業手当の両方をもらえることになります。例えば、昭和34年3月1日に生まれた男性(現在67歳)が退職した際は、どちらも受給可能です。
ただし、65歳以上の場合は、雇用保険の基本手当ではなく「高年齢求職者給付金」と呼ばれる一時金に切り替わります。
年金の支給停止が実施される制度はほかにもある
年金の受給にかかわる制度は、ほかにもあります。60歳以降に厚生年金を受け取りながら働こうと考えている場合は、「在職老齢年金」が適用されるかもしれません。この制度は、月収と年金の受給額の合計が合計65万円超になると、厚生年金の一部が支給停止する制度です。
また、「高年齢雇用継続給付」にも注意が必要です。60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者を対象にしたもので、賃金が60歳到達時の75%未満となった場合に、賃金の10%を上限として給付される制度です。
雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けると、前述の「在職老齢年金」の支給停止に加えて、最高で賃金の4%相当が支給停止されます。なお、2025年3月31日以前に支給要件を満たした人には経過措置があります。
自身のケースでどのような制度が適用されるのか詳しく知りたい場合は、年金事務所や日本年金機構の相談窓口に相談しましょう。
定年後の年金と失業給付の関係を確認しよう
「特別支給の老齢厚生年金」の対象者である60~64歳の人の場合、定年後に失業手当を受給すると、年金を受け取れません。65歳以上になると、「高年齢求職者給付金」と年金を受給可能です。
「在職老齢年金」や「高年齢雇用継続給付」など、年金の支給停止に結び付く制度はほかにもあります。定年後の身の振り方によって適用される制度や受け取れる年金額が左右されるため、自分にあった生活設計を考えることが大切です。制度の違いを知ったうえで、定年後の働き方や受給方法を検討しましょう。
出典
厚生労働省 雇用保険と年金の併給調整について
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢の引上げについて
日本年金機構 年金と雇用保険の失業給付との調整
日本年金機構 年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
